The Japanese Association for the Study of Popular Music

2014年第2回関西地区例会

2014年第2回関西地区例会

関西地区で、修士論文・卒業論文発表会を下記の通り開催します。

 

日時:3月22日(土)14時00分~18時00分
会場:関西学院大学 大阪梅田キャンパス 1408号室
(大阪市北区茶屋町19-19アプローズタワー14階 受付TEL:06-6485-5611)
アクセス:阪急「梅田駅」茶屋町口改札口から徒歩5分/JR「大阪駅」御堂筋出口から徒歩10分/地下鉄御堂筋線「梅田駅」から徒歩7分/「中津駅」から徒歩4分
地図:http://www.kwansei.ac.jp/kg_hub/access/

 

発表1:「韓流ドラマ」「K-POP」にせまる政治の影
発表者:三好明日彩(神戸山手大学現代社会学部)

要旨:「冬のソナタ」が大ヒットした2003年から始まったとされる韓流ブームは熱く、その間日本国内では、韓国ドラマやK-POPの勢いは止まることを知らなかった。韓国は海外に進出するK-POPや韓流ドラマを金銭面で援助している。これは大成功を果たし、多くの日本人、特に女性を虜にした。そして、その女性が虜になっているドラマやアイドルのCDやDVDが売れるだけでなく、韓国への観光客も増加し、日本はみるみるうちに韓国の国策に飲み込まれた。しかし、2012年8月10日に李明博(イ・ミョンバク)前大統領が竹島に上陸したことから、日本と韓国の関係は一気に悪化した。この政治の問題が文化にも影響をもたらし、韓流の人気も随分落ちたように感じる。本報告ではこうした一連の韓流ブームをさまざまな角度から考察する。

 

発表2:浜崎あゆみ―絶望の果てに見つけた居場所
発表者:大野紋佳(神戸山手大学現代社会学部)

要旨:本報告は浜崎あゆみという人物と、彼女が歩んできた歌手活動の中の葛藤や歌詞の意味を分析・研究したものである。歌詞の解釈やインタビュー記事の分析を通じてうかびあがってくるのは、歌姫という一見華やかな肩書の裏で、たびたび歌詞に登場する「もう一人の自分」に象徴される常に何かに葛藤している複雑な心境や姿である。そうした様々な葛藤や戦いの中で、彼女が見つけた居場所とは何か。年齢や経験と共に変化する歌詞や彼女自身について考えたい。

 

発表3:パンクロックと耳聴こえない僕
発表者:大川豪(神戸山手大学現代社会学部卒業生)
要旨:一般に聴覚障がい者といえば、全く耳が聴こえないと思われがちだ。しかし、障がいの種類は多様であり、補聴器をつけるなどの工夫をしながら音楽を楽しんでいる聴覚障がい者は意外に多い。本研究では、様々な聴覚障がいの内実を明らかにしたうえで、自身の体験に基づいてポピュラー音楽文化の魅力にせまる。音が「普通」には聴こえないからこそ、見えてくるポピュラー音楽文化消費のありかたを明らかにするのが本研究の目的であるといえる。

 

発表4:少女からバンギャへ―戦後の女性向けポピュラーカルチャーとしてのヴィジュアル系
発表者:ジョンソン・エイドリエン(京都精華大学大学院人文研究科修士課程)
要旨:本論文では80年代後半に登場したヴィジュアル系という音楽が戦後の女性向けポピュラーカルチャーにどのような影響を受けたかについて調査を行う。今回の発表ではこうした影響の一つとして、ヴィジュアル系の特徴である反覇権的な男性性に焦点を当ててみたい。ヴィジュアル系のパフォーマーは主に男性だが、ファンは男性より女性が多い。ライブに「参戦」するファンを見ればこのジェンダー相違がよくわかる。つまりヴィジュアル系の男性性のイメージは主に女性ファンに消費されているのである。そのため、ヴィジュアル系における男性性のパフォーマンスを戦後の女性向けポピュラーカルチャーとのつながりのなかで考えてみる必要があると思われる。

 

発表5:日本における「UKロック」の誕生と変遷
発表者:今東昇吾(関西大学社会学部)
要旨:現在、日本の洋楽リスナーにとってUKロックは人気のあるジャンルの一つであると言える。アメリカにも、カナダにも、オーストラリアにもロック音楽の文化は存在する。しかし、日本ではイギリスのロックだけがUKロックというジャンルとして定着している。本稿では、日本の音楽シーンにおいて「UKロック」という言葉がいつ誕生し、そしてどのようにリスナーに受容されていったか、その言葉の持つ意味合いの変遷の過程を、主に雑誌の記事分析とインタビュー調査によって明らかにする。そして、UKロックが多様な意味を持つようになった背景を考察する。

 

発表6:震災がもたらした精神的影響―ヒット曲の分析を手がかりに
発表者:石河壮太朗(関西大学社会学部)
要旨:震災は、人々にどのような精神的な影響を与えるのか。本研究は、阪神淡路大震災から東日本大震災後に至るまでのヒット曲の歌詞分析を手掛かりに、震災が人々の価値観や感情など精神的側面に与える影響を明らかにする試みである。3つの仮説、①「震災以降、恋人ではなく、同性の友人や家族の人間関係がより強固になる」、②「震災以降、励ましなどのポジティブな曲が共感を得る」③「震災以降、欲求や行動が主体的、積極的になる」を検証する。

 

発表7:中国の若者におけるジャニーズアイドルの受容
発表者:劉羽潔(関西大学社会学研究科マス・コミュニケーション学専攻修士課程)
要旨:韓流や欧米文化に囲まれる中国のメディア環境の中で、日本におけるメジャーなジャニーズ文化が中国ではサブカルチャーのような存在である。日本のアイドルファンについては一般人にあまり知られていない。それにもかかわらず、中国には少なからずジャニーズファンが存在する。中国の女性ジャニーズファンを対象として、インタビュー調査を実施し、ファンの日常的な行動を考察していく。また、台湾のジャニーズファンおよび中国の韓流ファンとの比較研究を行い、中国におけるメディア環境およびファンの特性を検討する。

 

お問い合わせ:
長崎励朗(関西例会担当委員)
reonagasaki1983426_at_gmail.com(_at_をアットマークに変えてご送信くだ
さい)
鈴木慎一郎(研究活動担当理事)
ssdeya_at_kwansei.ac.jp(_at_をアットマークに変えてご送信ください)

皆さまのご参加をお待ちしております。どうぞよろしくお願いいたします。

2014年第一回関西地区例会

2014年第1回関西地区例会

 

関西地区では、下記の例会を開催いたします。

 

研究会:「聴覚障がい者にとってのポピュラー音楽」
登壇者:大川豪(神戸山手大学卒業生)
森田雅子(大阪市立聴覚特別支援学校 校長)
司会:長崎励朗(京都文教大学講師)
日時:2014年2月9日(日)16:00~18:00
会場: キャンパスプラザ京都6F第2講習室(「京都文教大学」標示あり)
アクセス:http://www.consortium.or.jp/contents_detail.php?frmId=585

 

概要
ポピュラー音楽文化から「音」の要素を除くと、何が残るだろうか。言うまでもなく、ポピュラー音楽文化は音楽そのものだけで成り立っているわけではない。歌詞やライブパフォーマンス、ミュージシャンたちの発言、衣装など、音そのもの以外に様々な要素がその大衆性を支えている。しかし一般に、それらは音楽に付随するあくまで周辺的なものであるとみなされる傾向がやはり強いのではないだろうか。
今回の研究会にお招きするゲストスピーカー、大川豪氏はそんな一般の常識が通用しにくい環境下で音楽を愛好する人物である。大川氏は生まれつき、両耳感音性難聴を抱えている。両耳感音性難聴とは、聴覚神経の異常によって、小さな音はほとんど聞きとれず、逆に大きな音は健聴者並にうるさく感じるという聴覚障がいの一種である。高度な補聴器を用いることで、音楽を楽しむことはできるが、それでも通常の難聴とは異なり、周波数ごとに聴こえ方は随分異なるという。つまり、我々から見れば音楽そのものを消費することが極めて困難な状態に置かれているのである。にもかかわらず、大川氏は神戸山手大学に提出した卒業論文「パンクロックと耳聴こえない僕」においてポピュラー音楽文化に対する愛情を吐露している。
ではいったい、大川氏はどのようにして音楽を楽しんでいるのか。この問いは聴覚障がい者が物理的にどうやって音楽を聴いているか、というプラクティカルな疑問の答えを明らかにしてくれるとともに、ポピュラー音楽文化における「音」以外の要素を抽出し、その大衆性について議論する契機にもなるはずだ。
さらに、本例会では聴覚障がい者に対する音楽教育にも焦点を当ててみたい。聴覚障がい者が自身の障がいを認識し、音楽に関心を持つためには聾学校などにおける特殊な教育が不可欠である。その教育プロセスについて現状を知り、議論するために、今回は大阪市立聴覚特別支援学校の校長を務める森田雅子氏をお招きする。森田雅子氏は、特別支援学校の教員を務めるかたわら、大阪教育大学の修士課程に在籍した、いわば聴覚障がい者教育のプロフェッショナルである。その豊富な経験をもとに、森田氏には、現場でどのような音楽教育が施されているかを語っていただく。
以上のように本研究会は、ポピュラー音楽文化における「音」以外の要素を浮かび上がらせることを目的としているが、それによって、「音」そのものが持つ意味もまた、逆照射されるはずである。研究会を通してポピュラー音楽が持つ魅力の本質に迫る議論の展開が期待される。

 

お問い合わせ:
長崎励朗(関西例会担当委員)
reonagasaki1983426_at_gmail.com(_at_をアットマークに変えてご送信くだ
さい)
鈴木慎一郎(研究活動担当理事)
ssdeya_at_kwansei.ac.jp(_at_をアットマークに変えてご送信ください)

皆さまのご参加をお待ちしております。どうぞよろしくお願いいたします。

2013年度第3回関東地区例会

日本ポピュラー音楽学会 2013年度第3回関東地区例会
「音楽メディアとしてのニコニコ動画」

 
日時:2013年11月10日(日) 15:00~17:00
場所:武蔵大学 教授研究棟2階 02-E会議室
アクセス:西武池袋線「江古田駅」南口6分/都営大江戸線「新江古田駅」A2出口7分:http://p.tl/f9TB
キャンパスマップ:http://p.tl/7hF9

 
報告者:井手口彰典(立教大学)
報告者:ルジラット・ヴィニットポン(東京大学大学院)
問題提起者:溝尻真也(目白大学)
司会:南田勝也(武蔵大学)

 
日本のポピュラー音楽の現状を考える上で、初音ミクが歌ってみた楽曲や、そこから派生するさまざまなn次創作の文化は、もはや無視できないものになっている。一方で、こうしたコンテンツのプラットフォームになっているニコニコ動画についての学術的な研究は、まだ非常に限定されているといえるだろう。今回のテーマ例会は「音楽メディアとしてのニコニコ動画」と題し、ニコニコ動画が何をどのようにメディエートしてきたのかについて、事例報告ならびに討論を行いたいと考えている。
井手口彰典氏(立教大学)からは、著書『同人音楽とその周辺』で論じた「組曲『ニコニコ動画』台湾返礼」の事例を中心に、またルジラット・ヴィニットポン氏(東京大学大学院)からは、歌い手文化の事例を中心にそれぞれご報告いただく。その上で、音楽を介したコミュニケーションがさらなるコンテンツを生み出していく過程と、その背景にある社会の有様について、フロア全体で議論を行う予定である。

 
懇親会:例会終了後、懇親会を江古田駅周辺で行う予定です。

 
問い合わせ:
溝尻真也(関東地区例会担当委員)
toncotsu_at_hotmail.com(_at_をアットマークに変えてご送信ください)
南田勝也(研究活動担当理事)
minamida_at_cc.musashi.ac.jp(_at_をアットマークに変えてご送信ください)

2013年第1回中部地区研究例会

日程: 2013年11月3日(日)13:30~18:00
会場:愛知県立大学・県立芸術大学サテライトキャンパス
愛知県産業労働センター  15階
愛知県名古屋市中村区名駅 4丁目4-38
(名古屋駅から徒歩2分)
http://www.winc-aichi.jp/access/

 

プログラム:
1) 日本レコード界黎明期の唱歌レコード歌手納所文子とそのレコード
近藤博之

納所弁次郎の娘である納所文子は、アメリカ・コロムビアの出張録音を皮切りに、日本レコード界黎明期の明治末期から主に大正初期にかけて数々の唱歌を父親の伴奏で歌い、レコードに残してきた。同時代に彼女以外の唱歌レコードは他にもあったが、初の国産レコード会社である日米蓄音器(後の日本蓄音器商会)の中心戦力になったことなどにより、彼女は唱歌レコード吹込の第一人者として扱われるようになった。
しかしながら、レコード史及び音楽史などの先行研究において納所文子の足跡が十分に辿られてきたとは言えず、現在では本居三姉妹の二番煎じのように理解されている向きもある。
本発表は、納所文子及び彼女のレコードの足跡を辿り、日本レコード史の中での位置づけを模索するものである。彼女のレコードが大正時代の日本でどのように位置づけられていたか、また、本居三姉妹、他の童謡歌手との比較も行いたい。

 

2)  AKB48の歌詞論に関する考察
玉木博章 (高等学校非常勤講師(兼任))

本研究発表では、ポピュラーソングの歌詞は意味のあるテキストであるという見解に立ち、国民的アイドルグループとして謳われているAKB48の歌詞世界を読み解くことを目的とする。AKB48の歌詞論に関しては、最もポピュラーな先行研究として『AKB48白熱論争』で知られる批評家の宇野常寛によるものが挙げられる。本発表ではそれを対抗軸として、宇野の立場や語り口さらにはその根拠等を逐一確認しつつ、歌詞の精読や整理そして拙者による量的な調査や質的な調査の結果を基に、オルタナティヴの見解を示していく。そしてその結果、AKB48の歌詞世界が意味する新地平を提示し、その独自性やそこから生じる問題点、また他のアーティストの歌詞との共通点についても言及していきたい。

 

3)   国際コロキアム「昨日と今日のタンゴ」に参加して
西村秀人 (名古屋大学大学院国際開発研究科准教授)

本発表は2013年9月27日から30日までウルグアイの首都モンテビデオで開催される、国立ラウル・アジェスタラン音楽資料センター(Centro Nacional de Documentacion Musical Lauro Ayestaran)主催の国際コロキアム「昨日と今日のタンゴ」に関する報告である。このセンターは教育文科省に属する公的な組織でこのような国際コロキアムを2年に一度開催しているおり、第1回は「音楽/音楽学と植民地主義」、第2回は「アフリカとアメリカの間の音楽」で、第3回の今回はタンゴがテーマとなった。ウルグアイ、アルゼンチン、チリ、ブラジル、コロンビア、フィンランド、日本から計15名の識者が集い発表を行う。私は「日本におけるタンゴ:ジャパナイズと正統性の間で」と題し、来年で100周年を迎える日本のタンゴ史をダンス・歌・演奏の3つの面から、正統性(アルゼンチン・スタイル)への希求を軸として読み解く試みを行う。例会ではコロキアム全体の内容と、私個人の発表内容の両方に言及する予定である。

 

懇親会:

懇親会を名古屋駅周辺で行います。参加費用は4000円前後を予定しています(食事と飲み物を含む)。参加希望の方は10月26日までにポープにご連絡ください。

 

 

お問い合わせ:

エドガー・W・ポープ(中部例会担当委員)
pope_at_for.aichi-pu.ac.jp(_at_をアットマークに変えてご送信ください)
南田勝也(研究活動担当理事)
minamida_at_cc.musashi.ac.jp(_at_をアットマークに変えてご送信ください)

皆さまのご参加をお待ちしております。どうぞよろしくお願いいたします。

2013年第2回関西地区例会

関西地区では、下記の例会を開催いたします。

 

研究会「音楽フェスのジレンマーー慈善事業かビジネスか? ローカルかグローバルか?」

 

登壇者:沖島了太氏(舞音楽祭主催者・財団法人O-Plus代表理事)
山本佳奈子氏(アジアのインディーカルチャーサイトOffshore主宰)
永井純一(神戸山手大学講師)
司会:長﨑励朗(京都文教大学講師)
日時:2013年9月28日(土)15:00~18:00
会場:関西学院大学 西宮上ケ原キャンパス 第一教授研究館本館1階 会議室1
キャンパスマップ:http://www.kwansei.ac.jp/pr/pr_001086.html(18番の建物が第一教授研究館本館です)
キャンパスまでのアクセス:http://www.kwansei.ac.jp/pr/pr_000374.html

 

概要:

音楽フェスには様々な評価軸が存在する。それはエコ、国際交流といった理念の問題から単純な規模やアーティストの選定基準にいたるまで多岐にわたる。だからこそ、研究対象として豊かな土壌を提供してくれるが、その反面、全体像を捉えた研究が難しいのも事実である。

そこで、本研究会ではフェスが抱える2つのジレンマに焦点をあてた議論をおこなうことによって、フェスを考えるためのある程度定まった観点を見いだしたい。ここで扱うジレンマとは、「慈善事業かビジネスか?」「ローカルかグローバルか?」の2点である。これらは先に述べた様々な評価軸と密接に関連しており、フェスに関する問題系の中心に位置していると考えられるからだ。

これらについて本研究会では、大阪における舞音楽祭(旧渚音楽祭)の主催者である沖島了太氏と、アジアのインディーカルチャー紹介サイトoffshoreの管理人である山本佳奈子氏を招き、フロアも交えた討議をおこなう。

舞音楽祭はレイブフェスとしては中規模のもの(6000~9000人規模)ではあるが、「ローカル・アーティストのショーケース」という形式を守り続けており、先に挙げた2つのジレンマを考えるにあたっては格好の素材である。沖島氏から舞音楽祭(大阪)の主催者になるまでの道のり、およびフェス企画のプロセスなどについて語っていただくことで、主催者側の視点を提供していただく。

一方、山本佳奈子氏はアジアのアンダーグランドな音楽やアート事情に精通しており、サイト運営だけでなく、それらの情報を発信するイベントも手がけている。国外のシーンにも目を向けることで多角的かつ深みのある議論に発展することが予想される。

最後に永井純一氏は主にフェスのオーディエンスに焦点をあてた研究を続けている。以上のようにさまざまな視点からフェスが抱えるジレンマについて議論することで、フェス研究に新たな地平を見いだすことを目的とする。

 

問い合わせ先:鈴木慎一郎(研究活動担当理事)ssdeya_at_kwansei.ac.jp(_at_をアットマークに変えてご送信ください)

2013年第2回関東地区例会

日本ポピュラー音楽学会 第2回関東地区例会

 

日時:7月13日(土)14時00分~18時00分
会場:武蔵大学 教授研究棟1階 01-B会議室
アクセス: 西武池袋線「江古田駅」南口5分/都営大江戸線「新江古田駅」A2出口7分:http://p.tl/f9TB
キャンパスマップ:http://p.tl/cWhb(地図上Mの右隣10階建て建物の1階)

 

第1部 修士論文構想発表/報告会

 

<修士論文構想発表> 「演歌」および「懐メロ」は如何に聴取されているか?―音楽聴取経験におけるノスタルジーについての考案
発表者:ベニー・トン (シンガポール国立大学大学院 人文社会科学部 日本研究学科修士課程)

 

要旨:演歌はしばしば、「古き良き日本」の象徴とされる。しかし、一種の大衆音楽でもありながら、聴衆がいかにしてそうしたイメージを受容し、或いは意味づけるかということについての研究は乏しい。演歌の聴取により生ずる郷愁は如何なるものか。如何に生み出されるか。本論では、演歌を含む多様なジャンルの愛好家への聞き取り調査を素材に、ノスタルジーに関する先行研究を踏まえ、音楽聴衆経験によって生じるノスタルジーの特質とその作用の解明をめざす。

 

<修士論文報告> ポピュラー音楽の歌詞における日英言語の考察
発表者:赤木大介 (大東文化大学大学院 博士後期課程)

 

要旨:日本においてポピュラー音楽と呼ばれる大衆音楽が広まっていった1920年代頃の作品や訳詞家の漣健児による作品をはじめ、その後も数多く生み出されてきた日本語訳詞の洋楽カバー楽曲や、J-pop作品が英語歌詞でカバーされる近年の流行を通して、その歴史的流れや文化的背景を例証する。また日英間の歌詞翻訳に関してPeter Low(2005)は、重要となる項目をSingability, Sense, Naturalness, Rhythm, Rhymeの五つにまとめており、これらの基準を用いて同作品の歌詞を比較し、旋律上で言語を扱う際の特徴についても考察する。

 

第2部 個人報告

 

「ユー・ガッタ・ムーヴ」──フォークがロックへ踏み出したとき
発表者:佐藤良明

 

要旨:Rolling Stones の “You Gotta Move” (71) は、デルタより「素朴」とされたミシシッピー丘陵地の Fred McDowell のカバーである。Alan Lomax が1959年に「発見」した McDowell は、「フォークの浪漫主義」と「ロックの快楽主義」が交叉する興味深い存在。この発表では、一曲のゴスペル曲のルーツを商業音楽の流れの中に探りつつ、60年代初頭の Dylan や Jagger の動きを追って、ロック革命とは何だったのか、その輪郭を描くことを試みる。

 

みなさまのご参加をお待ちしております。

 

問い合わせ先:

南田勝也(研究活動担当理事)
minamida_at_cc.musashi.ac.jp(_at_をアットマークに変えてご送信ください)
溝尻真也(関東例会担当委員)
toncotsu_at_hotmail.com(_at_をアットマークに変えてご送信ください)

2013年第1回関東地区例会

関東地区で、卒業論文・修士論文発表会を下記の通り開催します。

日時: 3月23日(土)14時00分~17時00分
会場: 武蔵大学 江古田キャンパス教授研究棟01-B室(東京都練馬区豊玉上1-26-1)
アクセス:西武池袋線「江古田駅」南口5分/都営大江戸線「新江古田駅」A2出口7分:
キャンパスマップ:(地図上Mの右隣10階建て建物の1階)

発表:イングランドの第二次フォークリバイバルにおけるロイドの貢献
発表者:廣瀬 絵美(日本女子大学大学院文学部英文学専攻 博士課程前期2年)
要旨:
アルバート・ランカスター・ロイド(1908-1982)は、民俗学者、ライター、音楽プロデューサー、フォークソングのパフォーマーであり、1950年代から1960年代のイングランドで起こったフォークリバイバル運動の主導者である。本報告会では、ロイドが改作したバラッドやフォークソングに関する研究書、ライナーノーツをもとに、ロイドの業績を見直していく。そして、ロイドがフォークソングを通して見出そうとしたオルタティブな世界観やコミュニティといったものを明らかにしていく。

発表:フリーミュージック/フリーコンテンツ ――インターネットレーベルと初音ミク現象に見るコンテンツ制作者の未来
発表者:永野ひかり(武蔵野美術大学造形学部)
要旨:
「フリーミュージック/フリーコンテンツ」とは、インターネットに溢れる音楽を中心としたコンテンツと、それに関わるコンテンツ制作者、そして彼らが形成するコミュニティを表す言葉です。パーソナル・コンピューターの低価格化やインターネットの普及は、個人によるコンテンツの制作と発表の敷居を下げました。そのことがもたらしたのは「コンテンツがインターネットで発表され、そのコンテンツを介してコミュニケーションが行われ、コミュニケーションによって新たなコンテンツが生まれる」という基盤を形成したことです。
本論では、「フリーミュージック/フリーコンテンツ」の流れの中でも、特にインターネットレーベルと、初音ミク現象を扱い、「フリーミュージック/フリーコンテンツ」をいかにして存続させていくか、ということを考察します。そして、近しい文脈の文化を繋げて巨大な内輪を形成することと、ふたつの事象を同時に俯瞰することで浮かび上がる固有の価値を提示することを、問題解決のための打開策として提案しています。

みなさまのご参加をお待ちしております。

問い合わせ先:
南田勝也(研究活動担当理事)
minamida_at_cc.musashi.ac.jp(_at_をアットマークに変えてご送信ください)

2013年第1回関西地区例会

関西地区で、修士論文・博士論文発表会を下記の通り開催します。

日時:2月11日(祝)13時30分~17時30分
会場:関西学院大学 大阪梅田キャンパス 10階1002号室
(大阪市北区茶屋町19-19アプローズタワー10階 受付TEL:06-6485-5611)
アクセス: 阪急「梅田駅」茶屋町口改札口から徒歩5分/JR「大阪駅」御堂筋出口から徒歩10分/地下鉄御堂筋線「梅田駅」から徒歩7分/「中津駅」から徒歩4分
地図: http://www.kwansei.ac.jp/kg_hub/access/index.html

発表1: クラシック音楽のコンサートにおけるマナーの意義——聴衆(オーディエンス)の姿勢から探る
発表者: 堤万里子(京都精華大学大学院人文学研究科修士課程)
要旨:
近年、コンサート需要は増加傾向にある。その中、クラシックコンサートは一定の来場者を確保し続けてはいるが、公演数の増加や動員数の増加に繋がっていない。むしろ、一般的には敬遠されている印象をうける。その一つの理由として、コンサートにおける抑制的なマナーが関係しているのではないかと考えられる。オーディエンスの姿勢を基にクラシックコンサートのマナーの意義を明らかにする。

発表2: 私事化するロック――現代日本における若者の音楽受容
発表者: 島村譲(関西大学大学院社会学研究科マス・コミュニケーション学専攻修士課程)
要旨:
「ロックは死んだ」とされて久しい現代の日本においても、〈ロック=反抗の音楽〉というイメージは人々の間に残存している。では現代の日本の若者、とりわけロックファンはロックをどのように受容しているのだろうか。そこに〈反抗〉などの精神性やイデオロギーは存在するのだろうか。ロックの〈反抗〉や日本の若者の音楽受容についての先行研究を踏まえ、ロックファンへのインタビューを通じて、彼らが音楽受容に何を求めているのかを探っていく。

発表3: 社会的行為としての指揮――音楽演奏における時空間の編成から
発表者: 平田誠一郎(関西学院大学大学院社会学研究科研究員)
要旨:
クラシック音楽の演奏において、指揮者は何をしているのか。本発表ではこの問いに対して、アルフレッド・シュッツの「音楽の共同性」論文に基づき、それがたんなる音楽的・技術的な指導を超えた、奏者・聴衆も含めた演奏空間にいる人びとの「内的時間のコーディネート」であると答えたい。また指揮者は、そのような人びとが共有する内的時間を可視化・具現化することによってクラシック音楽の演奏空間の形成に重要な役割を果たしている。このような指揮者のあり方について、現代文化におけるクラシック音楽の受け止められ方の変容も踏まえつつ議論を行う。

問い合わせ先:
南田勝也(研究活動担当理事)
minamida_at_cc.musashi.ac.jp(_at_をアットマークに変えてご送信ください)

2012年第3回関東地区例会

関東地区例会では、下記の例会を開催いたします。

井上貴子編著『日本でロックが熱かったころ』書評会

日時:2012年12月22日(土)14:00-17:45頃予定
会場:武蔵大学 江古田キャンパス 1号館1203教室
地図:http://www.musashi.ac.jp/modules/annai_kouhou/index.php?content_id=9

登壇:
・今井晋(東京大学大学院)「メディアの影響と表象:日本のパンク受容の再検討(仮)」
・高橋聡太(東京芸術大学大学院)「日本でロックが熱く語られていたころ」
・難波弘之(ミュージシャン/東京音楽大学)「ロックとアカデミズムの間には、深くて暗い谷があるの?」
・井上貴子(大東文化大学)「刺激的な異文化から平凡な日常へ」
司会:南田勝也(武蔵大学)

この2年ほど当学会誌上で論争が繰り広げられている井上貴子編著『日本でロックが熱かったころ』(青弓社)
の書評と、それに対する「書評リプライ」に関して、本例会では直接議論する場を設けます。
編著者の中から書評に応答された井上・難波両氏をお迎えし、評者の今井氏、さらに、当学会最若手の世代にあたる
高橋氏を加えた計4名にご登壇いただきます。奮ってご参加ください。

問い合わせ先:安田昌弘(研究活動担当理事)yasuda_at_kyoto-seika.ac.jp (_at_をアットマークに変えてご送信ください)

2012年第1回中部地区例会

2012年第1回中部地区例会を下記のとおり開催します。
日程:2012年11月18日(日)13:30~17:00
会場:愛知県立大学のサテライトキャンパス
愛知県産業労働センター  15階
愛知県名古屋市中村区名駅 4丁目4-38
(名古屋駅から徒歩2分)
http://www.winc-aichi.jp/access/

プログラム:
1)グローカル化するアラビアの唄
エドガー・W・ポープ
この発表では昭和初期の日本で大ヒットし、オーストラリアでも人気があったアメリカのジャズソング、「アラビアの唄」(”Sing Me A Song of Araby”)についての研究結果を提示しながら、その国際的な旅をエキゾチズムと音楽産業のグローバル化のなかのグローカル化の一例として取り上げる。19世紀にヨーロッパで発展した中東に対するエキゾチズムは文化製品の国際流通によってアメリカやオーストラリア、そして日本にも普及した。中東エキゾチズムの流れを受け継いだアメリカの音楽産業の製品として1927年に出版された「アラビアの唄」は楽譜、ピアノロール、そしてレコードの媒体で輸出され、日本とオーストラリアでは地元のミュージシャンや企業によってローカル化された。一方オーストラリア発売のためにはアメリカで録音され、日本発売のためにはドイツで録音されたことから、グローバルな音楽産業のいわゆる「中心」のミュージシャンも「周辺」のローカル化に関わっていたことがわかる。この一曲の歴史にみられるさまざまなグローバル化とローカル化を考察する。

2) 巷で大人気であった三拍子曲〈籠の鳥〉と、時を超えて愛唱される三拍子曲〈故郷〉の歪み
三井 徹
1924年(大正13年)に大人気となった〈籠の鳥〉は三拍子曲であるのに、当時の録音では、一ヶ所が四拍子になってしまう。
作曲者である鳥取春陽の歌唱は、例外的に三拍子を一貫させているものの、同年に上演された演劇「籠の鳥」の主役、歌川八重子をはじめとした録音では、全八小節の旋律の第四小節が四拍子になっている。歌詞の一番で示せば、「逢いたさ/見たさに/こはさを/わすれ」の「わすれ」の後が一拍ではなく二拍伸びる。この歌を全国で口ずさんだ老若男女も同様であったに違いない。そして実は、これは当時に限ったことではなく、特に無伴奏の場合、いまにも持続する。
三拍子曲としては欠陥と言えるその第四小節と同じことが、名曲として親しまれてきている1913年(大正2年)高野辰之作の〈故郷〉(ふるさと)にも共通している。伴奏なしの気ままな歌唱や独奏では、全十六小節の後半部の「夢は/今も/めぐ/りて」の「りて」の後に二拍が続く。
それに基づく展開は、三拍子に不馴れというよりも日本人のリズムが基本的に二拍子に基づいているという程度にしか示せず、発表は指摘の域をさして出ない。
それでも指摘には値するかなという判断です。

懇親会:
三井先生を囲んでの懇親会を名古屋駅周辺で行います。参加費用は4000円前後を予定しています(食事と飲み物を含む)。参加希望の方は11月10日までにポープにご連絡ください。

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pope@for.aichi-pu.ac.jp
エドガー・W・ポープ
(中部地区研究活動委員)

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