The Japanese Association for the Study of Popular Music

2014年第4回関西地区例会

2014年第4回関西地区例会を下記の通り開催します。

 

研究会:「社会関係資本と集合的記憶
―『メモリースケープ』、『「つながり」の戦後文化史』を素材に―」

 

登壇者:小泉恭子(大妻女子大学准教授)
小川博司(関西大学教授)
長﨑励朗(京都文教大学講師)
輪島裕介(大阪大学准教授)
司会:鈴木慎一郎(関西学院大学教授)

 

日時:2014年10月19日(日)14:00~17:30
会場:関西学院大学梅田キャンパス 1404号室
(大阪市北区茶屋町19-19アプローズタワー14階 受付TEL06-6485-5611)
アクセス:阪急「梅田駅」茶屋町口改札口から徒歩5分/JR「大阪駅」御堂筋出口から徒歩10分/地下鉄御堂筋線「梅田駅」から徒歩7分/「中津駅」から徒歩4分
地図:http://www.kwansei.ac.jp/kg_hub/access/

 

概要:
「音楽は人をつなぐ」という言葉は、一見単純に思えるが、様々な課題を包含している。どんな音楽が、誰と誰を、どのようにしてつないでいるのか? また、その「つながり」はどのようにして形成され、どの程度の持続性、発展性を持っているのか?
本研究会では、『メモリースケープ―「あの頃」を呼び起こす音楽』(みすず書房)の著者、小泉恭子氏と、『「つながり」の戦後文化誌―労音、そして宝塚、万博』(河出書房新社)の著者、長﨑励朗氏を招き、これらの問題について議論を深めることを目的としている。昨年刊行されたこれらの著作は、互いに異なるアプローチをとりながらも、ともに音楽と社会関係資本の問題に迫ったものだ。
小泉氏によれば、世代を超えて歌い継がれる「スタンダード・ミュージック」よりも特定の世代にだけ共通する音楽である「コモン・ミュージック」の方が集合的記憶とリンクしやすいため、特定の世代を結びつける傾向が強い。記憶の中でその背景として流れていた音こそが、現代の年配世代を結びつける鍵になっているというのだ。
一方、長﨑氏のまなざしは、過去そのものへとむけられている。現在の年配者たちがまだ若かったころ、1950年代から60年代半ばにおいて、リアルタイムの「つながり」を担保していたのは、「教養」という高級文化への憧れであったという。小泉氏の析出した集合的記憶の源泉を探る研究として位置づけることができよう。
その他にも、両者の議論は「つながり」のメカニズムにおいては「世代」と「階層」に、手法面においては「記憶」と「記録」にそれぞれ力点をおいている。このように、隣接しながらも複数の異なる観点を持った研究を同時に検討することで、ポピュラー音楽と社会関係資本の関係、およびそこに作用する集合的記憶の力学に関する議論をより深化させることができるはずだ。
評者を務めるのは、メディア文化研究、音楽社会学を専門とする小川博司氏と、演歌の研究で知られ、「ワールド・ミュージック」に関する言説にも明るい輪島裕介氏である。2人の評者が加わることで、ポピュラー音楽を空間的広がりによって捉える視点の導入も期待される。
以上のような布陣で様々な観点からポピュラーミュージックと社会関係資本、そして集合的記憶の問題について議論を尽くす例会としたい。

 

 

お問い合わせ(_at_をアットマークに変えてご送信ください):
長﨑励朗(研究活動委員・関西例会担当)reonagasaki1983426_at_gmail.com
鈴木慎一郎(研究活動担当理事)ssdeya_at_kwansei.ac.jp