2014年第1回関西地区例会
関西地区では、下記の例会を開催いたします。
研究会:「聴覚障がい者にとってのポピュラー音楽」
登壇者:大川豪(神戸山手大学卒業生)
森田雅子(大阪市立聴覚特別支援学校 校長)
司会:長崎励朗(京都文教大学講師)
日時:2014年2月9日(日)16:00~18:00
会場: キャンパスプラザ京都6F第2講習室(「京都文教大学」標示あり)
アクセス:http://www.consortium.or.jp/contents_detail.php?frmId=585
概要:
ポピュラー音楽文化から「音」の要素を除くと、何が残るだろうか。言うまでもなく、ポピュラー音楽文化は音楽そのものだけで成り立っているわけではない。歌詞やライブパフォーマンス、ミュージシャンたちの発言、衣装など、音そのもの以外に様々な要素がその大衆性を支えている。しかし一般に、それらは音楽に付随するあくまで周辺的なものであるとみなされる傾向がやはり強いのではないだろうか。
今回の研究会にお招きするゲストスピーカー、大川豪氏はそんな一般の常識が通用しにくい環境下で音楽を愛好する人物である。大川氏は生まれつき、両耳感音性難聴を抱えている。両耳感音性難聴とは、聴覚神経の異常によって、小さな音はほとんど聞きとれず、逆に大きな音は健聴者並にうるさく感じるという聴覚障がいの一種である。高度な補聴器を用いることで、音楽を楽しむことはできるが、それでも通常の難聴とは異なり、周波数ごとに聴こえ方は随分異なるという。つまり、我々から見れば音楽そのものを消費することが極めて困難な状態に置かれているのである。にもかかわらず、大川氏は神戸山手大学に提出した卒業論文「パンクロックと耳聴こえない僕」においてポピュラー音楽文化に対する愛情を吐露している。
ではいったい、大川氏はどのようにして音楽を楽しんでいるのか。この問いは聴覚障がい者が物理的にどうやって音楽を聴いているか、というプラクティカルな疑問の答えを明らかにしてくれるとともに、ポピュラー音楽文化における「音」以外の要素を抽出し、その大衆性について議論する契機にもなるはずだ。
さらに、本例会では聴覚障がい者に対する音楽教育にも焦点を当ててみたい。聴覚障がい者が自身の障がいを認識し、音楽に関心を持つためには聾学校などにおける特殊な教育が不可欠である。その教育プロセスについて現状を知り、議論するために、今回は大阪市立聴覚特別支援学校の校長を務める森田雅子氏をお招きする。森田雅子氏は、特別支援学校の教員を務めるかたわら、大阪教育大学の修士課程に在籍した、いわば聴覚障がい者教育のプロフェッショナルである。その豊富な経験をもとに、森田氏には、現場でどのような音楽教育が施されているかを語っていただく。
以上のように本研究会は、ポピュラー音楽文化における「音」以外の要素を浮かび上がらせることを目的としているが、それによって、「音」そのものが持つ意味もまた、逆照射されるはずである。研究会を通してポピュラー音楽が持つ魅力の本質に迫る議論の展開が期待される。
お問い合わせ:
長崎励朗(関西例会担当委員)
reonagasaki1983426_at_gmail.com(_at_をアットマークに変えてご送信くだ
さい)
鈴木慎一郎(研究活動担当理事)
ssdeya_at_kwansei.ac.jp(_at_をアットマークに変えてご送信ください)
皆さまのご参加をお待ちしております。どうぞよろしくお願いいたします。