The Japanese Association for the Study of Popular Music

2021年度 第1回 オンライン例会

「ポピュラー音楽と政治——文化と公助の関係をめぐって」と題したシンポジウムを開催します。

どうぞ、奮ってご参加ください。
※会員以外の方もご参加いただけます。
※期限付きでアーカイブ配信もご用意する予定となっております。

 

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シンポジウム「ポピュラー音楽と政治——文化と公助の関係をめぐって」

 

2021年2月23日(火・祝)14:00~17:00
オンライン配信(YouTube)⇒ https://youtu.be/-aIKCuPoeN4
※事前申し込みは不要となりました。
登壇者やテーマに関する質問をお寄せください。
https://forms.gle/B5cXSeCGdA9RBv359

 

登壇者 ※五十音順
 あんどう裕 (自由民主党・衆議院議員)
 今泉まお (立憲民主党・兵庫県第4区総支部長)
 逢坂誠二 (立憲民主党・衆議院議員 ※14:00~14:35のみ)
 黒瀬順弘(元 難波ベアーズ/チマスト・ディスク)
 寺尾ブッタ(BIG ROMANTIC ENTERTAINMENT代表)
 橋本ゆき (渋谷区議会議員)
 森沢きょうこ (品川区選出、東京都議会議員)

コーディネーター:宮入恭平 (社会学者/大学講師)

 

趣旨
 本学会では、このコロナ禍に当たって2020年4月に「新型コロナウイルスと音楽産業JASPM緊急調査プロジェクト2020」(https://covid19.jaspm.jp/) を発足しました。以後、およそ1年間に渡ってさまざまな研究者が協働し、ライブハウス・クラブをはじめとする音楽事業者の現状や、この間に実施された文化助成政策について調査を進めてまいりました。
 そこで浮き彫りになったのは、ポピュラー音楽産業/市場/文化と公的助成制度の間にある、数々のミスマッチングでした。たとえば令和2年度第2次補正予算において、約500億円を当てた文化庁の「文化芸術活動の継続支援事業」は、フリーランスのミュージシャンやDJなどを支援対象とするなど画期的・包括的な助成制度であったにも関わらず、申請の煩雑さ、職能団体の不在や非正規雇用・非専業者の多さを考慮に入れていなかったこと、そして何よりも「助成金ではなく経費補助」であったことから申請が伸び悩み、当初予定していなかった4次募集枠を設けることになりました。ライブ市場の収益が前年比8割減という調査結果も発表されている昨今、こうした助成スキームの不備は文化面のみならず、人々の雇用や生活に直結した問題であると言えます。
 一方で、文化助成による支援には、政治との距離が常に取り沙汰されます。とくにポピュラー音楽産業は、これまで思想面や商業的な(相対的)自律性のために、政治とは距離を置く傾向にありました。しかし、今回の新型コロナウイルス禍においては、「共助」や「公助」のもとで、政治との近接性が注目されました。すでに「自助」が限界に達しつつあるなかで、文化助成の充足を訴えるためのポピュラー音楽産業/市場/文化による政治への働きかけは、音楽と政治の関係を問い直す契機になったとも言えるでしょう。そこで、今回のシンポジウムでは、新型コロナウイルス禍によって露呈した音楽と政治の関係について、それぞれの立場からの登壇者をお招きし、議論を深めたいと考えています。

 

運営スタッフ
加藤 賢、小林篤茂、日高良祐、宮坂遼太郎、山本佳奈子

 

問い合わせ先
輪島裕介(研究活動担当理事)yskwjm[at]gmail.com

 

 

2020年度 第1回 オンライン例会

8月25日(火)に日本ポピュラー音楽学会2020年度第1回オンライン例会を開催いたします。奮ってご参加ください。なお、ZOOMミーティングを使用し、URL、ID、パスワードはJASPMメーリングリストで送付いたします。今回の例会は会員限定とします。URL、ID、パスワードは拡散させないようにお願いいたします。

 

日程:8月25日(火) 15時〜18時(オンライン開催)

 

司会・毛利嘉孝

 

■発表1:

ライブゴアーに対する定量調査(中間発表)

南田 勝也(武蔵大学)

木島由晶(桃山学院大学)

永井純一(関西国際大学)

平石 貴士(立命館大学協力客員研究員)

【要旨】

「新型コロナウイルスと音楽産業JASPM緊急調査プロジェクト2020」の定量調査チームは、2020年4月21日から5月5日にかけて民間調査会社に委託してWeb調査を実施した。コロナ禍におけるライブ音楽の動向ならびに一般の音楽リスナーのライブに関する行動と意識を検証するためである。「⾳楽ライブに関するアンケート」と題した調査で、事前のスクリーニング調査に回答した2149名のうち、過去2年間(2018~2019年)にライブに行ったと回答した25.3%(543名)を対象に本調査を行い、469名から有効回答を得ている。本発表では、調査対象者を「ライブゴアー」と名付け、彼/彼女らの嗜好・行動・意識について、単純集計から多変量解析を用いた分析結果をもとに多面的な角度から検討を行う。また、収束を見せる気配のないコロナ禍におけるライブのあり方について、一定の提言を行う。

 

■発表2:

「オンラインを活用する音楽業界の試行ーCOVID-19による影響を受けて」

日高 良祐(東京都立大学)

宮坂 遼太郎(東京藝術大学大学院)

上岡 磨奈(慶應義塾大学大学院)

【要旨】

「新型コロナウイルスと音楽産業JASPM緊急調査プロジェクト2020」において、ミュージシャン、音楽を提供する場所で働く人々など音楽を仕事にする、音楽の送り手に対して調査を行った3名による報告。宮坂は2020年4月9日から16日に実施した「音楽に仕事として関わる個人」を対象とするオンライン調査の結果より、COVID-19が音楽産業内の人々に与えている経済的ダメージの甚大さやその内容、また公演やレッスンなどの対面を前提とした活動のオンライン化に関する難しさなどを整理して報告する。上岡は、アイドルを出演者の中心としたフェスの運営について主催者へのインタビューを行った。延期や中止に伴う経済的な影響について報告するとともに、今後の開催形式やオンラインでのイベントについて模索する声からアイドル産業の特徴を活かすことの有用性について検討する。日高は、ライブハウス営業の要とも言える非正規雇用スタッフについてそのあり方と営業停止などによる経済的ダメージの大きさ、また今後のオンラインの活用とその可能性について、インタビュー調査の結果から検討を行う。

 

 

お問い合わせ([at]を@に変えてご送信ください)

輪島裕介(研究活動担当理事) yskwjm[at]gmail.com

 

新型コロナウイルスによる2020年度 第1回 関西地区例会延期について

 

 

2月29日(土)に開催を予定しておりました関西例会は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、延期することにしました。

新しい日程と会場については追ってお知らせいたします。

 

お問い合わせ([at]を@に変えてご送信ください)

柴台弘毅(関西例会担当研究活動委員) kouki.layra[at]gmail.com

輪島裕介(研究活動担当理事) yskwjm[at]gmail.com

 

 

2020年度 第1回 関西地区例会

卒業論文・博士論文報告会を下記の通り開催いたします。

直前の告知で大変恐縮ですが、みなさまのご参加をお待ちしております。

 

日時:2020年2月29日(土)14:00~18:00

会場:関西大学 千里山キャンパス 第三学舎 C404教室

 

アクセス:

阪急電鉄千里線・関大前駅下車、階段を上がり関西大学「西門」からエスカレーターを上がる。真正面に見える建物が第三学舎です。

 

アクセスマップ:

http://www.kansai-u.ac.jp/global/guide/access_senri.html

キャンパスマップ:

http://www.kansai-u.ac.jp/global/guide/mapsenri.html

 

■発表1:

「愛国ソング」の受容態度と分断社会――RADWIMPS「HINOMARU」を事例に

平 寧々(関西大学社会学部社会学科メディア専攻4年)

 

【要旨】

2018年6月、RADWIMPSの「HINOMARU」という楽曲が賛否両論の議論を巻き起こした。RADWIMPSは、日本の有名なロックバンドである。タイトルの「HINOMARU」は、日本の国旗を意味している。人々は、この楽曲についてインターネット上で様々なコメントを寄せている。ある人は、国歌にしたいと賞賛した。また、ある人は、まるで軍歌のようだと批判した。そして、何人かの研究者は、この楽曲を愛国ソングであるとして考察している。しかし、このような先行研究からは明らかになっていないことがある。ひとつは、人々の意見が分かれる理由である。もうひとつは、この楽曲が、愛国ソングとして受容されない場合もあることである。したがって、本研究では、「愛国ソング」を受容する人々の態度がどのように分かれているのかを明らかにする。なお、括弧付きで表記した「愛国ソング」には、愛国ソングであるか疑問があるという意味も含まれている。

本研究では、ツイートの内容分析と、インタビュー調査を行った。その結果、「愛国ソング」を受容する人々の態度は、4つに分類できた。なぜそのように分かれるのかについて、近年、注目されている分断社会と関連づけて考察する。

 

■発表2:

「ブルデューの〈界〉の方法論と対応分析:現代日本のポピュラー音楽の構造分析を事例にして」

平石 貴士(立命館大学社会学研究科研究生)

 

【要旨】

1970~80年代に定式された、仏社会学者ピエール・ブルデューの場/界(champ)の概念は、分化なり、差異化なり、「島宇宙化」した現代の諸領域を指し示す概念として「都合が良く」、文化研究のなかでそれほど体系的でなく多用されてきた。南田勝也による場の概念を用いたロック・ミュージック研究などポピュラー音楽研究では先進的な研究があるものの、場の厳密な研究においてブルデュー用いてきた仏発祥の統計技術である「対応分析」という方法については文化研究におけるそのポテンシャルがこれまで検討されてこなかった。本論文ではこの方法を検討し、実際にオリコンのデータに基づいて2014年の日本ポピュラー音楽の場を分析を行った。またこの分析の経験をもとに、ブルデューの諸概念と方法の再検討を行った。その結果、文化研究に統計分析を用いる利点は、ハビトゥスや資本といった固有の社会学概念をデータに即して明確化することにあることがわかった。当日の報告では以上についての説明に加えて、音楽研究に応用する際の特殊な諸問題について提起したい。

 

■発表3:

「電気音響機器の歴史をひらく:1910年代~1920年代の米国を事例に」

福永健一(関西大学大学院社会学研究科マス・コミュニケーション学専攻博士後期課程)

 

【要旨】

発表者は、修士論文で1920年代米国のクルーナー歌手の流行について分析し、博士論文で1870年代から1930年代米国の電気音響メディアを介した様々な声の営みについて歴史社会学的に検討した。本発表では、博士論文で取り組んだ研究の一部である、米国におけるマイクロフォン、ラウドスピーカー、拡声器といった電気音響機器の登場と広がりについて紹介する。1910年代から20年代の米国で開発されたこれら機器の歴史記述は、ラジオ、電気録音、トーキー映画といった同時代に出現した電気音響メディアに比べて分厚いとはいえない。これらの機器がどういった文脈から開発され、どのような用途で用いられたのか、主に米国における企業の研究開発と市井への広がりに焦点を当てて検討する。電気音響技術が当時の音風景やポピュラー音楽に与えた影響などを考える一助となることを目指す。

 

 

例会終了後、懇親会を予定しています。

 

お問い合わせ([at]を@に変えてご送信ください)

柴台弘毅(関西例会担当研究活動委員) kouki.layra[at]gmail.com

輪島裕介(研究活動担当理事) yskwjm[at]gmail.com

 

 

2020年度 第1回 関東地区例会

2020年度 第1回関東地区例会を下記の通り行います。

みなさまのご参加をお待ちしております。

 

日程:2020年2月11日(祝日) 14:30-17:30
会場:大東文化会館3階K-302
(東武東上線東武練馬駅下車徒歩5分)
アクセスマップ
https://www.daito.ac.jp/file/block_49513_01.pdf#search=’%E5%A4%A7%E6%9D%B1%E6%96%87%E5%8C%96%E4%BC%9A%E9%A4%A8

 

 

1.個人発表 14:30-15:20

 

“Preliminary & Future Research Goals, Hopes, and Difficulties in Ethnographic Research Regarding Punk in Japan“

「パンクのエスノグラフィーについての予備研究および未来の研究目的・願望・艱難」

Robert M. Dahlberg-Sears (PhD Student, School of Music, The Ohio State University)

 

【Abstract】

For over 40 years, punk rock has been active throughout the world in public imaginings as an uninhibited force of rock and roll noise, a defiant shout spanning across generations. However, it is also a critical link in understanding present-day popular music trends. Punk’s single most salient feature is likely its place as a style, “multifarious in meaning and malleable, contradictory and elusive,” as Tom Astley (2017) notes. It is precisely this indefiniteness which will provide an important focus for this discussion, as the variegated meanings of punk at global/local levels necessarily leads to differences in interpreting precisely what punk is and what might punk has the power to become. In particular, I am curious regarding the construction/transmission of punk identity, as the multifarious ways in which punk is expressed (music, textiles, politics, Do-It-Yourself mentality) do not seem to cross in the same manner in any one given place. During my preliminary dissertation research, difficulties small and large have developed in performing ethnography of punk music, spaces, places, and people in Tokyo, and it is my hope that by presenting some of these difficulties my future work will be better situated to understand and contend with these issues. In addition to ethnographic issues, I will further consider how best to contextualize such an ethnography within academic literature and how to make it accessible for other publics.

※発表は英語、ディスカッションは日英混合で実施します。

 

 

2.書評会 15:30-17:30

 

宮入恭平『ライブカルチャーの教科書ー音楽から読み解く現代社会』青弓社、2019年
登壇者:宮入恭平、南田勝也、山添南海子

 

【書籍概要】

2000年代後半以降、CD市場が縮小し音楽聴取形態が多様化するのに伴って、各地のフェス、コンサート、アイドルシーンなど、ライブ・エンターテインメント市場が音楽文化を牽引している。「音楽を楽しむこと」の意味は近年どのように変わってきていて、そこにはどのような社会的・文化的な背景があるのか。本書では、音楽ライブを読み解くために「メディア」「産業」「法律」「教育」などの視点を解説したうえで、フェスやレジャー、アニソン、部活、アイドルなどの具体的なトピックスを基本的な知識も押さえながら解説する。また、音楽とファンの関係、音楽がもつ政治性、LGBTなどの社会的なマイノリティとの関わり、ARなどの技術と音楽文化など、ライブカルチャーを概説しながら、現代社会の諸問題を考えるアイデアや論点を提示する。

 

【著者からのコメント】

本書の執筆にあたっては、いくつかの大学で担当している音楽文化論や音楽社会学の授業を踏まえながら、半期の授業で利用しやすい教科書を想定した。もちろん、本書で扱っているのは音楽だが、音楽そのものを議論しているというよりはむしろ、音楽を取り巻く社会や文化が論点の中心に据え置かれている。つまり、音楽はあくまでも素材として位置づけられており、最近のポピュラー音楽シーンのなかで重要な枠割を担っているライブカルチャーを取り巻く社会、文化や政治との関係を読み解く作業をおこなっている。

 

例会終了後、懇親会を予定しています。

 

お問い合わせ([at]を@に変えてご送信ください)
大嶌徹(関東例会担当研究活動委員) oossttuu[at]yahoo.co.jp