2020年度 第2回 オンライン例会・JASPM32大会関連企画

11月29日(日)に、2020年度 第2回 オンライン例会・JASPM32大会関連企画を開催いたします。奮ってご参加ください。

 

なお、Zoomウェビナーを利用し、会員以外からの一般参加も歓迎いたします。参加をご希望の方は、下記URLの参加申込フォームに必要事項をご記入ください。Zoomウェビナーに参加するためのURLを、後日メールにてお知らせいたします。
https://forms.gle/auS5tSrBmfC3o8i49
※JASPM会員であっても参加をご希望の場合は登録が必要です。
※参加申込の〆切は、11月28日(土)13時といたします。

 

日程:11月29日(日) 16時~(Zoomウェビナーにて開催)

 


 

オンライン学会発表と法的問題—「公衆送信」における音楽・映像配信の諸問題を中心に

 

増田聡(大阪市立大学)

安田昌弘(京都精華大学)

琴太一(Law and Theory、大阪弁護士会)

 

  アンダーコロナの状況下において研究活動は著しい影響を被っているが、大学における授業をはじめオンライン環境への移行はめざましく進行しており、新型コロナ流行当初に想定された困難を排して教育研究活動が遂行されていることに改めてわれわれは驚くべきかと思う。その一方、とりいそぎのオンライン化が長期化する趨勢を受けて、考慮すべき諸問題がより深刻化していることにも目を向けたい。

  われわれの研究活動において喫緊の問題として、オンラインによる研究成果の公表に伴う法的問題がある。本学会の今回大会も全面的にオンラインで行われているが、ポピュラー音楽学会の研究活動の性質上重要となる、音楽・映像を提示しながらの研究報告が著作権上の障害によって困難に直面していることは、会員諸氏も実感していることと思われる。

  リアル空間における対面状況における学会口頭発表では、著作権に留意することが必要である音楽・映像の上演は、さほど法的な問題を意識することなく常識的に行われてきた。これは著作権法第32条に規定される「引用」に該当するものとして、われわれの日常的な研究活動上正当な行為として行われてきたと考えられる(そのような法的枠組みについての意識は希薄であったにしろ)。しかし、対面状況ならぬオンライン環境を強いられることによって、各学会は「オンライン研究発表に伴うガイドライン」を各種定め、そこではしばしば、著作権のある音楽・映像をオンライン発表において用いることについて慎重な取り扱いを要請することが一般的となっているのが現状だ。対面状況での上映と、ネットなどを介した「公衆送信」との間に、さほど根拠のない区分が持ち込まれ、各学会が「念のために」ネット上における音楽・映像の提示を自粛する傾向が生じているのが現状である。

  その状況が、われわれ音楽研究者のオンライン学会活動に著しい制約をもたらすこととなっているのは周知である。本ワークショップでは、アンダーコロナの学会活動のおかれた状況を概観しつつ、そこで生じる問題点、特に音楽・映像を用いる発表の手法について議論したい。音楽実践と著作権の間の理論的諸問題を考究してきた増田による司会で、まずは現今状況下における各学会のオンライン発表ガイドラインを一瞥したあと、海外の研究状況に詳しい安田により、諸外国におけるオンライン研究報告と法的制限をめぐる諸事例をとりあげ、オンライン環境下での学術活動が置かれた諸問題を整理する。その上で、音楽と著作権法について関心が深い弁護士、琴による法的な検討を行うことで、オンライン状況下における研究発表が関連するであろう法的問題を事例に即して検討するとともに、われわれが現在置かれた状況下において、有効な研究活動をなすために必要となるアイディアを参加者を加えて議論する。「フロア」ならぬオンラインからの活発な討議を期待したい。