関西地区で、研究例会を下記のとおり開催します。
日時: 6月9日(土曜)16時~19時
会場: 関西学院大学 大阪梅田キャンパス 10階1002号室
(大阪市北区茶屋町19-19アプローズタワー10階 受付TEL: 06-6485-5611)
アクセス: 阪急「梅田駅」茶屋町口改札口から北へ徒歩5分。
JR「大阪駅」御堂筋出口から徒歩10分、地下鉄御堂筋線「梅田駅」から徒歩7分、「中津駅」から徒歩4分。
地図: http://www.kwansei.ac.jp/kg_hub/access/index.html
発表1: 音と映像との「対位法(コントラプンクト)」再考――初期トーキー映画理論を軸に
発表者: 長門洋平(国際日本文化研究センター機関研究員/京都外国語大学非常勤講師)
要旨: 映画の音楽をめぐる理論的言説において、音と映像との対位法という概念は一般に「特定の映像に、あえてその意味内容とは対照的な印象を持つ音楽をかぶせることによって映像の意味を強調する、あるいは新たな意味を付与する手法」と理解されることが多い。しかしながらこの考え方は、本来の音楽理論としての「対位法」とはその概念構造が微妙にずれている。さらに、1920~30年代の「トーキー革命」期に大きく喧伝されることにより世界的に波及したこの用語は、必ずしも常に対照性(コントラスト)を含意していたわけではなかった。本発表では、主に以下の論点に注目しながらこの概念を再検討・整理する。①対照性、②映画を構成する各要素の自律性、③「垂直モンタージュ」あるいは「ポリフォニック・モンタージュ」、④異化効果、⑤映像のナラティヴ、音響のナラティヴ、⑥「効果」のベクトル、⑦フレーム外の音とその深度。
発表2: 「腹話術」としてのポピュラー音楽――クルーニング唱法を手がかりに
発表者: 秋吉康晴(神戸大学大学院人文学研究科博士後期課程)
要旨: 1920 年代末に登場した「クルーナー」、なかでもルディ・ヴァレーとビング・クロスビーは、20 世紀のポピュラー音楽史においてある特別な地位を与えられてきた。それはマイクロフォンを忠実な複製の媒体ではなく、ひとつの「楽器」と見なし、テクノロジーに根ざした歌唱のスタイルを確立したからであるとされる。それでは、「クルーニング唱法」とそれ以前のテクノロジーに依存しない歌唱スタイルは、受容経験においてどのように異なっていたのだろうか。本発表ではこの問題を声から聞きとられる歌手の身体性という観点から考えてみたい。そのために本発表では「声のきめ」(ロラン・バルト)を批判的に検討し、バルトの問題を乗り越えるための手がかりとして「腹話術」(ジェイソン・トインビー)という観点を導入して考察したいと思う。
研究会終了後には懇親会も予定しています。多くの皆様のご参加をお待ちしております。
問い合わせ先:安田昌弘(研究活動担当理事)
yasuda_at_kyoto-seika.ac.jp (_at_をアットマークに変えてご送信ください)