2012年第1回中部地区例会を下記のとおり開催します。
日程:2012年11月18日(日)13:30~17:00
会場:愛知県立大学のサテライトキャンパス
愛知県産業労働センター 15階
愛知県名古屋市中村区名駅 4丁目4-38
(名古屋駅から徒歩2分)
http://www.winc-aichi.jp/access/
プログラム:
1)グローカル化するアラビアの唄
エドガー・W・ポープ
この発表では昭和初期の日本で大ヒットし、オーストラリアでも人気があったアメリカのジャズソング、「アラビアの唄」(”Sing Me A Song of Araby”)についての研究結果を提示しながら、その国際的な旅をエキゾチズムと音楽産業のグローバル化のなかのグローカル化の一例として取り上げる。19世紀にヨーロッパで発展した中東に対するエキゾチズムは文化製品の国際流通によってアメリカやオーストラリア、そして日本にも普及した。中東エキゾチズムの流れを受け継いだアメリカの音楽産業の製品として1927年に出版された「アラビアの唄」は楽譜、ピアノロール、そしてレコードの媒体で輸出され、日本とオーストラリアでは地元のミュージシャンや企業によってローカル化された。一方オーストラリア発売のためにはアメリカで録音され、日本発売のためにはドイツで録音されたことから、グローバルな音楽産業のいわゆる「中心」のミュージシャンも「周辺」のローカル化に関わっていたことがわかる。この一曲の歴史にみられるさまざまなグローバル化とローカル化を考察する。
2) 巷で大人気であった三拍子曲〈籠の鳥〉と、時を超えて愛唱される三拍子曲〈故郷〉の歪み
三井 徹
1924年(大正13年)に大人気となった〈籠の鳥〉は三拍子曲であるのに、当時の録音では、一ヶ所が四拍子になってしまう。
作曲者である鳥取春陽の歌唱は、例外的に三拍子を一貫させているものの、同年に上演された演劇「籠の鳥」の主役、歌川八重子をはじめとした録音では、全八小節の旋律の第四小節が四拍子になっている。歌詞の一番で示せば、「逢いたさ/見たさに/こはさを/わすれ」の「わすれ」の後が一拍ではなく二拍伸びる。この歌を全国で口ずさんだ老若男女も同様であったに違いない。そして実は、これは当時に限ったことではなく、特に無伴奏の場合、いまにも持続する。
三拍子曲としては欠陥と言えるその第四小節と同じことが、名曲として親しまれてきている1913年(大正2年)高野辰之作の〈故郷〉(ふるさと)にも共通している。伴奏なしの気ままな歌唱や独奏では、全十六小節の後半部の「夢は/今も/めぐ/りて」の「りて」の後に二拍が続く。
それに基づく展開は、三拍子に不馴れというよりも日本人のリズムが基本的に二拍子に基づいているという程度にしか示せず、発表は指摘の域をさして出ない。
それでも指摘には値するかなという判断です。
懇親会:
三井先生を囲んでの懇親会を名古屋駅周辺で行います。参加費用は4000円前後を予定しています(食事と飲み物を含む)。参加希望の方は11月10日までにポープにご連絡ください。
お問い合わせ:
pope@for.aichi-pu.ac.jp
エドガー・W・ポープ
(中部地区研究活動委員)
皆さまのご参加をお待ちしております。どうぞよろしくお願いいたします。
問い合わせ先:安田昌弘(研究活動担当理事)
yasuda_at_kyoto-seika.ac.jp (_at_をアットマークに変えてご送信ください)