The Japanese Association for the Study of Popular Music

第25期日本学術会議新規会員任命拒否に対する声明

2020年10月8日
日本ポピュラー音楽学会理事会

 

 第25期日本学術会議新規会員任命に際し、日本学術会議が推薦した105名の会員候補者のうちの6名を、内閣総理大臣は任命しませんでした。また、任命拒否に至った理由を明確に説明していません。

 

 そもそも、日本学術会議の推薦した会員を、内閣総理大臣が改めて選考するという今回の行為は法解釈の恣意的な変更にあたり、この決定には、日本学術会議法の解釈と運用に照らして法的根拠がありません。また、日本学術会議は、科学者の総意の下に学術の進歩に寄与することを使命とし、独立して科学に関する重要事項を審議する機関であり、会員は科学における優れた研究又は業績に基づいて推薦されます。他方、内閣総理大臣は優れた研究又は業績に基づいて判断する能力を有していません。したがって、従来、日本学術会議の推薦した会員全員が任命されてきたのは、日本学術会議の使命に照らして当然だといえます。以上、今回の決定は、日本学術会議に対する不当な介入であり、学問の自由、その多様性と独立性、研究者の言論と活動を委縮させるものであり、ひいては憲法で保障された表現の自由、言論の自由に対する侵害につながりかねない行為だといえます。

 

 以上の点から、日本ポピュラー音楽学会は、日本学術会議の提出した要望書に記された2項目、1. 日本学術会議が推薦した会員候補者が任命されない理由の説明、および、2. 日本学術会議が推薦した会員候補者のうち、任命されていない方の速やかな任命、を内閣総理大臣に対して求めます。