共催:東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科(GA)
日本ポピュラー音楽学会 第34回年次大会
JASPM34(2022年12月17日-18日)は、
17日(土)にシンポジウムを対面(東京藝術大学千住キャンパス第7ホール)+Zoomウェビナー(参加無料・要登録)で、
18日(日)にワークショップ、個人研究発表をオンライン(zoom)で実施します。
プログラム
12月17日(土)@東京芸術大学千住キャンパス第7ホール
・シンポジウム(13:00 – 17:00)
「ポピュラー音楽研究と「音」というフィールド:現代東アジアの文脈におけるサウンド・スタディーズの可能性」
会場
対面(会員のみ):東京芸術大学千住キャンパス第7ホール
オンライン配信:Zoomウェビナー(参加無料・リンクより登録をお願いします)
登壇者(50音順)
阿部万里江(Marié Abe)
大友良英
岸野雄一
山本佳奈子
司会
中川克志
・総会(17:30 – 18:30)
シンポジウム会場と同会場です(詳細は決定次第で会員向けに案内します)
12月18日(日)@オンライン(zoom)
●ワークショップ(10:00 – 12:00)ワークショップA(zoomストリームA) | ワークショップB(zoomストリームB) |
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表現文化としての音楽文化 ポピュラー音楽とテクノロジー、サブカルチャー、アート | ポピュラー音楽の諸実践における場所・空間概念の再考 |
粟谷佳司(立命館大学) | コーディネーター・報告者:加藤賢(大阪大学博士後期課程3年) |
太田健二(四天王寺大学) | 報告者:星川彩(大阪大学博士後期課程1年) |
石川琢也(京都芸術大学) | 討論者:安田昌弘(京都精華大学) |
有國明弘(大阪市立大学大学院文学研究科後期博士課程) | 討論者:長尾洋子(和光大学) |
川上幸之介(倉敷芸術科学大学) |
●個人発表(13:30 – 17:00)
ZoomストリームA | ZoomストリームB | ||
司会:宮入恭平 | 司会:金成玟 | ||
13:30-15:00 |
1.
ローカルな音楽空間におけるネットワークの重層化と開放性──堺から世界へ──
新山大河(立命館大学大学院 先端総合学術研究科 一貫制博士課程) |
13:30-15:00 |
1.
1980年前後の日本における韓国歌謡ブーム:「釜山港へ帰れ」の事例を中心に
孫長熙(ソン・ジャンヒ)(大阪大学大学院 人文学研究科 博士後期課程) |
2.
沖縄民謡バーと沖縄系人の関係性ーハワイのオアフ島を対象にー
澤田聖也(東京藝術大学大学院後期博士課程、ハワイ大学マノア校文化人類学科研究訪問員) |
2.
K-POP女性グループと多様化するガールクラッシュ―楽曲における「強さ」の表現方法の分析―
西森真菜(関西学院大学大学院文学研究科博士課程前期課程) |
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3.
1991年に始まった二つの音楽フェステイバル
指田文夫(大衆文化評論家) |
3.
〈邦楽ロック〉黎明期における音楽雑誌の役割──1994年から1997年の『ロッキング・オン・ジャパン』を中心に
菊池虎太郎(大阪大学人文学研究科博士前期課程) |
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15:00-15:30 | 休憩 | 15:00-15:30 | 休憩 |
ZoomストリームA | ZoomストリームB | ||
司会:高岡智子 | 司会:溝尻真也 | ||
15:30-17:00 |
1.
Gypsy Punkにおけるジプシーとキャバレー
室之園直己(関西学院大学大学院文学研究科 文化歴史学専攻 博士課程前期課程) |
15:30-17:00 |
1.
ポストCDのメディアの諸相とその変化 光学ディスクとハイレゾリューションオーディオを例に
中村将武(東京大学大学院 博士後期課程) |
2.
音楽活動に都市政策が与える影響 −−ブリュッセル首都圏ヒップホップミュージックの事例から—
安彦良紀(ブリュッセル自由大学博士課程、大阪市立大学大学院文学研究科後期博士課程) |
2.
アーティストの影響関係による音楽推薦Webアプリケーションの開発
竹本万里(九州大学大学院博士前期課程) |
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3.
地方から再考するニューミュージック : さだまさしと中島みゆきにおける反メトロポリス性
ドレックスラー アニータ (DREXLER Anita) (大阪大学大学院人文学研究科博士後期課程) |
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シンポジウム
「ポピュラー音楽研究と「音」というフィールド:現代東アジアの文脈におけるサウンド・スタディーズの可能性」登壇者:阿部万里江(Marié Abe)、大友良英、岸野雄一、山本佳奈子(50音順)
司会:中川克志
会場
対面(会員のみ):東京芸術大学千住キャンパス第7ホール
オンライン配信:Zoomウェビナー(参加無料・リンクより登録をお願いします)
今年度のJASPM34ではシンポジウムのみ対面配信ハイブリッド形式で開催されることになりました。本シンポジウムは、コロナ禍以降の日本ポピュラー音楽学会の次なる展開を刺激するために、(コロナ禍において私たちの多くがそこから少し遠ざかったかもしれない)「現場」で音や音楽にかかわることで見えてくる論点を共有し、現場に戻りたいという私たちの欲望と研究関心とを刺激したいと思っています。もちろん「現場」は色々な場所にあります。アーカイヴ調査に没頭する書庫もライブ参加者などにインタビューする喫茶店もレコード録音のない民俗芸能をフィールド・レコーディングする祭事場も論文氏筆作業に没頭するパソコンの前も「現場」でしょう。今回のシンポジウムでは、日本と東アジアという「現場」で独自の活動を展開してきた実践者や研究者に、それぞれの現場で考えてきた思考についてお話しいただきたいと思います。登壇者は五十音順に、阿部万里江さん、大友良英さん、岸野雄一さん、山本佳奈子さんです。
阿部万里江(Marié Abe)さんはボストン大学で働く研究者です。近日中に邦訳出版予定のちんどん屋のエスノグラフィーに基づく『Resonances of Chindon-ya: Sound, Space, and Sociality in Contemporary Japan』(邦題『ちんどん屋の響き—現代日本における音の空間と社会性』)ではミュージッキングというよりもsoundingsについて語っており、細川周平編著による日本で最初のサウンド・スタディーズの論集『音と耳から考える』の冒頭論文では、サウンド・スタディーズなる学的領域がどのような歴史的文脈と地政学的文脈のなかから出現してきたかを整理してくれています。
大友良英さんはミュージシャンです。世界中で即興演奏、ノイズ、ポップス、盆踊りなど、多種多様な音楽をつくり続けています。1990年代からはヨーロッパやアジアを隅々まで演奏活動しており、そのなかから見えてきたアジアのミュージシャンたちの連帯のあり方について〈アジアでの音楽活動から見えてきたミュージシャンたちのあり方と、アジア各国それぞれの政治的文化的方向性とが、必ずしも同じじゃないことに可能性を感じている〉と昔おっしゃっていたことが印象深く、今回の登壇をお願いしました。
岸野雄一さんはスタディスト(勉強家)です。東京藝術大学大学院・映像研究科でサウンド・デザインの非常勤講師を務めながら、市井の実践家として1980年代から開始したその活動は一言ではまとめられませんが、近年では、川上音二郎を狂言回しとして組み立てられた音楽劇『正しい数の数え方』で2015年文化庁メディア芸術祭エンターテイメント部門大賞を受賞したり、足元からの民主主義の説明書「民主主義のエクササイズ」(2021年)というテクストを発表したり、地元墨田区をはじめ全国各地で繰り広げられる盆踊りのアップデートを実践したり、『シティポップとは何か』に論考を寄稿したりといった活動などが、代表的な活動でしょうか。
山本佳奈子さんは、日本以外のアジアの音楽やアートや文化の情報を伝える「オフショア」という個人運営のメディアを10年以上に渡り独立独歩で運営してきた方です。独自のスタンスでアジアと日本の文化に関連する展開を模索しつつあり、最近は文芸誌も刊行し始めました。ウェブメディアの運営、文芸誌の刊行、ライブツアーや映画上映ツアーの企画など、日本と東アジアの文脈で音や音楽に関わる色々な活動が興味深く、また本学の会員でもあり、今回登壇願うことになりました。
以上の四氏に、日本の国内外の現場で音と音楽にからみあいながら活動することの意義と面白さについて語っていただきたいと思います。それは、音楽研究、あるいは、音や聴覚を出発点として何らかの人文学的な知見を獲得する営みとしてのサウンド・スタディーズの可能性を探ることにもなるでしょう。フロアやオンラインとの質疑応答が様々な論点の散りばめられたものとなり、会員諸氏を刺激するシンポジウムとなることを祈念しています。よろしくお願いします。
(中川克志)