Japanese Association for Studying Popular Music

2018年度 第2回 関西地区例会

2018年度 第2回 関西地区例会

 

日時:2018年8月29日(水)14:00~18:00

会場:関西大学 千里山キャンパス 第3学舎 A305教室

アクセス:阪急電鉄「梅田」駅から、千里線「北千里」行で「関大前」駅下車、または京都「河原町」行(通勤特急を除く)で「淡路」駅下車、「北千里」行に乗り換えて「関大前」駅下車、徒歩約5分

地図:http://www.kansai-u.ac.jp/global/guide/mapsenri.html#map

 

本研究例会は、2018年6月9日から10日にかけて北京にある中国伝媒大学(CUC:Communication University of China)で開催された「6th Inter-Asia Popular Music Studies Conference(以下、IAPMS2018)」参加者による報告と、今後、東アジア圏のポピュラー音楽研究者たちとどのように連携し、研究活動に取り組んでいくかについての意見交換を行う。

今回で6回目の開催を迎えた「IAPMS2018」では、キース・ニーガスによるキーノート・スピーチ、24のパネルセッション、北京や香港を拠点に活動するミュージシャンたちによるライブパフォーマンスなどが行われた。パネルセッションでは、国際学会未経験の大学院生を含む10名以上のJASPM会員が口頭報告を行い、中国、台湾、韓国、マレーシア、シンガポールなど東アジア圏のポピュラー音楽研究者たちと交流を深めた。

本研究例会では、こうした国際学会参加によって得られた成果・知見を共有し、JASPM会員の今後の研究活動に繋げていくことを目的に、下記の4名による参加報告を行う。柴台は「IAPMS2018」の開催概要などについての報告を行う。加藤、藤下は「IAPMS2018」で初めて国際学会での研究発表を経験した大学院生の視点から、どのような準備を行い、どのような知見を得たのかを、発表内容のサマリーと共に報告する。輪島は「IAPMS2018」に向けての自身の大学院ゼミにおける取り組みや指導方法、東アジア圏のポピュラー音楽研究者との連携の必要性や今後の課題などについて報告を行う。

 

報告① 「6th Inter-Asia Popular Music Studies Conference(IAPMS2018)の概要と東アジア圏のポピュラー音楽研究」柴台弘毅(関西大学・大阪音楽大学ほか非常勤講師)

 

本報告は、本研究例会の導入として「IAPMS2018」の開催概要、パネルセッションにおける研究発表の動向、日本からパネリストとして参加した研究者のコメントなどを紹介するものである。

「IAPMS2018」では、キース・ニーガスによるキーノート・スピーチ、24のパネルセッション、北京や香港を拠点に活動するミュージシャンたちによるライブパフォーマンスなどが2日間にわたり行われた。パネルセッションへは日本からの参加者を含む94名の研究者がパネリストとして登壇し、グローバリゼーション、産業、教育、ジェンダー、ライブパフォーマンス、日本の音楽、ニューメディアなど様々なテーマで報告を行った。当日は報告者もパネリストとして参加し、テレビ神奈川が1970年代から1980年代にかけて制作した音楽番組について「The backgrounds of music program from the 1970s to 1980s in japan: The Practice of “Young Impulse” and “Fighting ‘80s”, that were produced by Television Kanagawa」と題する報告を行い、各国からの参加者や現地の学生ボランティアたちと有益な議論を交わすことができた。

本報告ではまず、プログラムなどの各種資料や写真などを交えながら、「IAPMS2018」の開催概要とパネルセッションにおける研究テーマの動向を紹介する。次いで、報告者が2018年8月上旬から下旬にかけて行う、日本からの「IAPMS2018」参加者を対象としたメールアンケートの集計結果を紹介し、本研究例会における議論の一助としたい。

 

報告②「ニッポンの音楽は『アジアの音楽』か?:the 6th Inter-Asia Popular Music Studies Conference 2018」加藤賢(大阪大学大学院文学研究科文化表現論専攻音楽学研究 前期博士課程2年)

 

本発表は2018年6月9日・10日に北京・中国伝媒大学で開催された研究集会である、the 6th Inter-Asia Popular Music Studies Conference 2018 (6th IAPMS) の大会参加報告である。 発表者は大会開催日の両日に渡ってシンポジウム・パネルセッションへ参加し、自らも発表を行った。以下 ①事前準備 ②発表内容ならびに質疑応答 ③大会へ参加しての所感、の3点について報告 を行う。

発表者の在学する大阪大学音楽学研究室においては、輪島裕介准教授の指導のもと発表要旨・ 原稿の事前検討会が計4回にわたって開かれ、その成果を踏まえて発表者は日本における「渋谷系」 音楽ムーブメントを事例に 「Who Is Locating Shibuya-kei in Shibuya? : Musical Revival, Standardization, and Gentrification」 と題した発表を行った。この過程でどのような議論・改善 が為されたのか、また発表の結果どのような質疑応答が行われたのかを発表する。また本大会は 発表者にとって初めての国際学会であり、目にする全てが新鮮な驚きであった。アジアという広 大で豊穣なフィールドではいま何が議論されているのか、その中で日本ならびに日本文化はどのような役割を果たしていくべきなのか。大会に参加することで得た所感を述べる。

 

報告③「IAPMS2018参加報告~海外の研究者が見る日本のポピュラー音楽というフィールド~」藤下由香里(大阪大学大学院文学研究科文化表現論専攻音楽学研究 博士後期課程3年)

 

本発表では、発表者自身にとって初となる国際学会での発表の報告を行う。発表者は「IAPMS2018」2日目のGenderのセッションにて「Amateur female music producers in otaku culture:The creativity of “diva” in dojin music」のタイトルで個人発表を行った。発表までの道程は険しく、言語の壁と限られた発表時間の中で自身が主張したい事をどのようにして展開するか、その計画はとりわけ困難を極めた。しかしながら、発表者が所属するゼミ(大阪大学音楽学研究室輪島ゼミ)での度重なる議論やゼミのメンバーからのアドバイスを受けることで、結果として内容がより洗練された状態で発表することが出来た。そして、発表後の質疑応答からは、海外の研究者が現代日本における女性歌手やオタク文化のどのようなことに着目しているのかということも浮かび上がってきた。

以上の点を踏まえつつ、本発表では、国際学会での発表に至るまでの発表内容精査の経緯と、質疑応答や他のセッションでの議論を見聞する中で自身が感じた海外の東アジア圏ポピュラー音楽研究者による日本のポピュラー音楽及びポピュラー音楽研究への認識について述べる。

 

報告④「アジアと/の日本:日本のポピュラー音楽研究の問題としての「インターアジア」」輪島裕介(大阪大学大学院文学研究科准教授)

 

本報告では、北京大会への学生の参加を強く奨励した意図とその問題意識について概説する。報告者は、2017年に半年台湾滞在し、日常的なレヴェルでの日本文化受容の深さと広さを確認し、また、研究者間の日本のポピュラー音楽研究の蓄積への関心と、それが非日本語圏で適切に紹介されていないことを惜しむ声をしばしば聞いた。また、ドイツの国際ポピュラー音楽学会大会やアメリカ民族音楽学会にも参加したが、そこでは日本のポピュラー音楽に関する一部の研究者の関心の高まりを感じる一方、ネイティヴ英語圏主導の国際学会での、言語の壁の高さのみならず方法論や議論の作法における差異を痛感し、アカデミック市場の苛烈なポリティクスも瞥見した。

こうした観点から、単に漠然とした「グローバル」なるものの下位区分では決してない、具体的なネットワークであり、学問的な方法でもありうる「インターアジア」に積極的に参与することを目指し、思い当たる学生や研究者に片端から声をかけた次第である。

報告の中では、こうした問題関心のみならず、本番に至るまでの具体的な行程やそこでの議論についても述べる。

 

例会終了後、懇親会を予定しています。

 

お問い合わせ([at]を@に変えてご送信ください)

太田健二(関西例会担当研究活動委員) otakenji[at]shitennoji.ac.jp

井上貴子(研究活動担当理事) fwgd0462[at]mb.infoweb.ne.jp