The Japanese Association for the Study of Popular Music

2017年度第1回関西地区例会

2017年度 第1回 関西地区例会

 

卒業論文・修士論文・博士論文報告会を下記の通り、開催いたします。

みなさまのご参加をお待ちしております。

 

日時:2017年3月24日(金)13:30~18:00

会場:関西大学 千里山キャンパス 第3学舎 A305教室

アクセス:阪急電鉄「梅田」駅から、千里線「北千里」行で「関大前」駅下車、または京都「河原町」行(通勤特急を除く)で「淡路」駅下車、「北千里」行に乗り換えて「関大前」駅下車、徒歩約5分

地図:http://www.kansai-u.ac.jp/global/guide/mapsenri.html#map

 

発表1:オーディオ広告に見る「良い音」観の系譜(卒業論文)

浅巻祐真(京都文教大学総合社会学部)

本研究は1950年代から現在に至るまでのオーディオマニアが持っていた「良い音」観の変遷を明らかにすることを目的としている。方法としては、音楽之友社『レコード芸術』第1号 (1952年1月号) から第785号 (2016年2月号)に掲載されているスピーカーの広告を対象とし、キャッチコピーを抽出した。細分化メディアである雑誌の広告の内容を時代ごとに追っていくことは、各時代のオーディオマニアが持っていた「良い音」観を明らかにしてくれるはずである。

 

発表2:パチンコとアドルノ(卒業論文)

若宮花瑛(大阪市立大学文学部)

本発表の目的は、大衆文化としてのパチンコを、アドルノ理論に基づいて検討することにある。日本社会におけるパチンコは長い歴史と巨大な産業規模を持つにもかかわらず、これまで文化研究の対象として積極的に議論されてこなかった。パチンコの歴史を規制と音楽に注目して整理し、現在のパチンコ業界と音楽業界の相互に依存した関係を明らかにした上で、アドルノのポピュラー音楽批判の見地からの検討によって、パチンコが文化研究の対象となりにくい要因を明らかにする。

 

発表3:甲子園に広がるプロ野球応援歌――千葉ロッテマリーンズの応援が人気のワケ(卒業論文)

楠本美法(関西大学社会学部)

野球における応援歌は学生野球から始まった。応援歌はプロ野球に移入され、プロ野球では選手個別の応援歌も存在する。近年、高校野球の応援歌にプロ野球で使われている応援歌、特に千葉ロッテマリーンズのものが導入されることが盛んになった。なぜこのような現象が起きたのか、プロ野球の応援のあり方の変化、インターネットの普及という視点から明らかにする。

 

発表4:ロック文化におけるモッシュ行為の研究――理念と実践、個人と集団(修士論文)

中野太郎(大阪大学大学院文学研究科博士前期課程)

本研究が対象とするモッシュは、1980年代半ばのアメリカのハードコア・シーンで概念化されたライブ中の観客のふるまいである。それは、一般的な音楽聴取における「鑑賞」という聴取の形態とは大きく異なり、行為者同士はぶつかり合い、暴れ、走り回り、時にステージに背を向ける。本研究では自身のフィールドワークをもとに、現在の日本のライブシーンにおけるモッシュ実践に注目し、分析を行う。そのなかで、モッシュ文化における「理念」に着目する。

 

発表5:現代におけるライブパフォーマンスの変容に関する研究――応援上映と初音ミクのライブを事例に(修士論文)

吉村汐七(大阪大学大学院文学研究科博士前期課程)

近年のライブ市場の売り上げや漫画・ゲームを原作とした舞台の増加は、映像や音楽の受容の変化を裏付けている。さらに、架空のキャラクターのライブに熱狂する人々の存在にも注目すべきである。これは、インターネットやSNSの登場・発展により「ライブ」という言葉の概念が変化していることを意味しているだろう。本研究は、初音ミクのライブと映画『KING OF PRISM by PrettyRhythm』の応援上映の二つの事例から、現代のライブパフォーマンスについて考察している。

 

発表6:音楽を存在論的に理解すること――音楽実践の分析と形而上学は(どのように)結びつくか

田邉健太郎(立命館大学大学院生存学研究センター客員研究員)

本発表は、博士論文に基づき、分析美学における音楽の存在論の包括的見取り図を提示することを目的とする。第一に、「音楽作品とは何か」を論じる基礎的論争(fundamental debate)を、「音楽実践や音楽に関する信念等の分析」、「形而上学的考察」、「方法論的考察」という三つの視点から整理したのち、「そうした基礎的論争は作品概念の歴史的展開と機能に十分な注意を払っていない」とするリディア・ゲーアの批判を検討する。第二に、「録音物」をめぐる存在論的議論を取り上げ、ポピュラー音楽研究と存在論の結びつきを明確化したい。

 

例会終了後、懇親会を予定しています。

 

お問い合わせ([at]を@に変えてご送信ください)

太田健二(関西例会担当研究活動委員) otakenji[at]shitennoji.ac.jp

井上貴子(研究活動担当理事) fwgd0462[at]mb.infoweb.ne.jp