The Japanese Association for the Study of Popular Music

2014年第1回中部地区例会

2014年第1回中部地区例会を下記の通り開催いたします。皆さまのご参加をお待ちしております。

 

日時: 2014年11月2日(日)13:30~17:30
会場: 愛知県立大学・県立芸術大学サテライトキャンパス
   愛知県産業労働センター 15階
   愛知県名古屋市中村区名駅 4丁目4-38(名古屋駅から徒歩2分)
   http://www.winc-aichi.jp/access/

 

プログラム:

 

発表1 ジンバブエ・ポップスの基層音楽「ンビラ」の文化
松平勇二 (名古屋大学博士研究員)
ジンバブエはアフリカ南部の内陸国である。この国を代表するポップスに「チムレンガ・ミュージック」(闘争音楽)がある。この音楽が「闘争」と言われる理由には、音楽を用いた黒人の政治闘争がある。ジンバブエでは約90年間にわたって人種差別支配がおこなわれた。ショナ族出身の歌手トーマス・マプフーモは伝統音楽に合わせて政治的メッセージを訴え、自らの音楽を「闘争音楽」となづけた。本発表で分析するのは、彼の音楽の元となったラメラフォーン(ンビラ)の音楽である。マプフーモの歌詞は確かに政治的である。しかし、ショナ社会では歌うこと、音楽を演奏すること自体が政治的意味を持つのではないか。ジンバブエ中部のニャンドーロ地域でおこなわれる憑依儀礼は、政治的要素、宗教的要素、音楽が複雑に交差する儀礼である。憑依儀礼で演奏されるンビラ音楽を分析し、ショナ社会における音楽の政治性と宗教性を考察する。

 

発表2 Led Zeppelinの傑作 “Whole Lotta Love” のルーツを辿って
宮崎尚一 (愛知県立大学非常勤講師)
1969年にリリースされた無敵のモンスターアルバム “Led ZeppelinⅡ”の1曲目に収録されている “Whole Lotta Love”は、今もなお多くのアーティスト、グループに影響を与え続けている、ロック史上稀な偉大かつ完全無欠のハード・ロック・チューンである。この曲のメガ・ヒットにより、デビューしてほんの1年足らずで Led Zeppelin はロック・バンドの頂点に君臨し、不動の人気を得たのである。米国においては The Beatles の後を受け継いで1970年代を代表するロック・バンドの覇王と見做された。
しかし、この楽曲は Led Zeppelin によって純粋なオリジナル作品として創作されたのではなく、明らかに彼らが好んでいた特定アーティストの作品、スタイルを模倣して作られたということも良く知られている。これをまさに「盗用、欺瞞」だと騒ぐ人たちもいるが、そういった批判が彼らの伝説を覆す程までにはけっして至っていない。それどころか、今日のデジタル時代において、彼らの作品が改めて正しく理解されることを目的に、バンド・リーダーのJimmy Page氏によりLed Zeppelinの音源すべてが新たにリマスターされ、2014年6月から各アルバムが順を追って発売されている。そしてそれを追うようにして、ロック系音楽雑誌の多くが Led Zeppelin の特集を組み、Led Zeppelin ブームが再来しているのである。
これを契機に本発表では、ハード・ロック・チューンのアンセムでもある “Whole Lotta Love”を、そのルーツとなる関連音源を実際に聞きながら、可能な限り詳細な分析を試みたい。その際、Led Zeppelinの楽曲を長年歌い続けてきたヴォーカリストとしての経験が発表者の視点を強く規定していることをご了解願いたい。

 

懇親会:
例会終了後、懇親会を名古屋駅周辺で行います。参加費用は3500円前後を予定しています(食事と飲み物を含む)。参加希望の方は10月26日までにポープ(メールアドレスは下記)にご連絡ください。

 

お問い合わせ(_a_をアットマークに変えてご送信ください):
エドガー・W・ポープ(研究活動委員・中部例会担当)pope_a_for.aichi-pu.ac.jp
鈴木慎一郎(研究活動担当理事)ssdeya_at_kwansei.ac.jp