ブルースと子守歌――日本の近代化過程における大衆音楽の同化と異化

会場:友愛館Y-005教室・14:00〜14:40

遠藤薫(学習院大学)


19世紀後半における「開国」を契機として、日本社会にはさまざまな欧米文化が怒濤のように流入してきた。日本の文化は、この時期に大きな変容を遂げ、現在に至っていることはいうまでもない。この変容について、近年は、アンダーソン『想像の共同体』やホブスバウム『創られた伝統』などに影響を受けた議論が大きな影響力を持っている。それらは、近代化における「過去との断絶」を重視する。この視座は、「現在」を過剰に「民族的伝統」によって装飾し、正統化しようとする動きを牽制するという意味で高く評価される。だがその反面 (さらに…)

カルロス・ベガの民謡・舞踊研究――ノンポリ音楽学者による「アルゼンチン文化」像の構築

会場:友愛館Y-002教室・14:00〜14:40

遠藤健太(名古屋大学大学院博士後期課程 日本学術振興会特別研究員DC2)


カルロス・ベガ(Carlos Vega, 1898-1966)は、アルゼンチンをはじめとする南米各地に伝わる民謡や舞踊の収集・体系化という先駆的な仕事を成したことで知られ、「アルゼンチン音楽学の開祖」と称されるとともに、近代科学としての民俗学の理論・方法論の立役者ともなった人物である。ベガの民謡・舞踊研究は、アルゼンチンおよびラテンアメリカ諸国の音楽学者・民俗学者らに多大な影響を及ぼしたばかりでなく、アルゼンチンの一般の人々の間にも流布して、通念としての「アルゼンチン文化」像の構築というべき働きをも成したと言える。 (さらに…)

日本流の野外音楽フェスティバルはどのようにして作られたのか?

会場:友愛館Y-004教室・14:40〜15:20

山添南海子(日本大学大学院芸術学研究科芸術専攻博士後期課程)


野外音楽フェスティバル(以下フェス)が世界的に興隆し、拡大している。日本でもフェスの開催が盛況となり、毎年多数のフェスが開催されている。これまで多くのフェスが、それぞれ英米で開催されてきたロック、ジャズを主体としてフェスに倣い開催されてきた。日本へ本格的にフェスの移入がなされてから20年を近く経て、フェスが各地に定着するにつれて独自色も強化されている。現在では過去のフェスからの影響を受けずに新規開催されるフェスも出現し、強烈な個性を放つフェスも少なくない。 (さらに…)

ブルデューの界理論に基づく現代日本のポピュラー音楽の界の構築

会場:友愛館Y-002教室・15:20〜16:00

平石貴士(立命館大学大学院社会学研究科後期博士課程)


本報告は、フランスの社会学者ピエール・ブルデューの界理論を使いながら、日本の商業音楽の界をマッピングすることを試みる。はじめに、ブルデューの界理論の要約を提示し、次にオリコン株式会社のCD売上げデータを元にサンプリングしたアーティストの位置空間についてのマッピングを行う。

界という概念は、ブルデューにおいて、ハビトゥス、資本、実践などの著名な概念と並ぶ中心的な概念である(『ディスタンクシオン』(1979=1991)『芸術の規則』(1992=1996))。 (さらに…)