Japanese Association for Studying Popular Music

2017年の研究活動記録

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【大会等】

日本ポピュラー音楽学会第29回大会

2017年12月2日~3日 関西大学(千里山キャンパス)

NEWSLETTER115号に報告を掲載

 

【関東地区】

◆第1回研究例会

日時:2017年3月11日土曜日 14:00〜17:00
会場:大東文化大学板橋キャンパス 3号館3-1034教室

NEWSLETTER112号に報告を掲載

 

「東京ライブハウス文化の転換と再構築 ー中規模店舗のブッキングイベントを事例にー」

中野 哲 (東京藝術大学大学院音楽研究科音楽文化学専攻芸術環境創造領域修士課程)

 

「「繋がり」のライブハウス——東北ライブハウス大作戦と大船渡LIVEHOUSE FREAKSをめぐって」

紺野泰洋(早稲田大学大学院教育学研究科修士課程)

 

16:00-17:00 講演 (通訳なし)

“My Island of Golden Dreams: Japanese Americans Performing Hawaiian Music in Japan”

Kevin Fellezs (Assistant Professor of Music and African American Studies, Columbia University)

 

 

◆第2回研究例会

日時:2017年7月22日(土)14:00~17:00
会場:大東文化大学板橋キャンパス3号館106・107

NEWSLETTER114号に報告を掲載

 

発表1:「ポピュラー音楽に潜む大衆性と社会変革のアポリア――新宿西口フォーク集会を中心に」(修士論文)

中村洸太(一橋大学社会学研究科)

 

発表2:「日本におけるガムランの活動に関する一考察――その変遷と現状分析をもとに」(修士論文)

増田久未(東京音楽大学大学院音楽研究科)

 

発表3:「1980年代における連鎖的なチャリティーソング制作の興盛を誘発した諸要因についての考察――南北問題が音楽家らに与えた影響」(修士論文)

竹中雄亮(新潟県立大学院国際地域学研究科)

 

発表4:「クラブカルチャーを通してみる個人化と共同の往復関係」(修士論文)

北村心平(武蔵大学大学院人文科学研究科)

 

 

【関西地区】

◆第1回研究例会

日時:2017年3月24日(金)13:30~18:00

会場:関西大学 千里山キャンパス 第3学舎 A305教室

NEWSLETTER112号に報告を掲載

 

発表1:「オーディオ広告に見る「良い音」観の系譜」(卒業論文)

浅巻祐真(京都文教大学総合社会学部)

 

本研究は1950年代から現在に至るまでのオーディオマニアが持っていた「良い音」観の変遷を明らかにすることを目的としている。方法としては、音楽之友社『レコード芸術』第1号 (1952年1月号) から第785号 (2016年2月号)に掲載されているスピーカーの広告を対象とし、キャッチコピーを抽出した。細分化メディアである雑誌の広告の内容を時代ごとに追っていくことは、各時代のオーディオマニアが持っていた「良い音」観を明らかにしてくれるはずである。

 

発表2:「パチンコとアドルノ」(卒業論文)

若宮花瑛(大阪市立大学文学部)

 

本発表の目的は、大衆文化としてのパチンコを、アドルノ理論に基づいて検討することにある。日本社会におけるパチンコは長い歴史と巨大な産業規模を持つにもかかわらず、これまで文化研究の対象として積極的に議論されてこなかった。パチンコの歴史を規制と音楽に注目して整理し、現在のパチンコ業界と音楽業界の相互に依存した関係を明らかにした上で、アドルノのポピュラー音楽批判の見地からの検討によって、パチンコが文化研究の対象となりにくい要因を明らかにする。

 

発表3:「甲子園に広がるプロ野球応援歌――千葉ロッテマリーンズの応援が人気のワケ」(卒業論文)

楠本美法(関西大学社会学部)

 

野球における応援歌は学生野球から始まった。応援歌はプロ野球に移入され、プロ野球では選手個別の応援歌も存在する。近年、高校野球の応援歌にプロ野球で使われている応援歌、特に千葉ロッテマリーンズのものが導入されることが盛んになった。なぜこのような現象が起きたのか、プロ野球の応援のあり方の変化、インターネットの普及という視点から明らかにする。

 

発表4:「ロック文化におけるモッシュ行為の研究――理念と実践、個人と集団」(修士論文)

中野太郎(大阪大学大学院文学研究科博士前期課程)

 

本研究が対象とするモッシュは、1980年代半ばのアメリカのハードコア・シーンで概念化されたライブ中の観客のふるまいである。それは、一般的な音楽聴取における「鑑賞」という聴取の形態とは大きく異なり、行為者同士はぶつかり合い、暴れ、走り回り、時にステージに背を向ける。本研究では自身のフィールドワークをもとに、現在の日本のライブシーンにおけるモッシュ実践に注目し、分析を行う。そのなかで、モッシュ文化における「理念」に着目する。

 

発表5:「現代におけるライブパフォーマンスの変容に関する研究――応援上映と初音ミクのライブを事例に」(修士論文)

吉村汐七(大阪大学大学院文学研究科博士前期課程)

 

近年のライブ市場の売り上げや漫画・ゲームを原作とした舞台の増加は、映像や音楽の受容の変化を裏付けている。さらに、架空のキャラクターのライブに熱狂する人々の存在にも注目すべきである。これは、インターネットやSNSの登場・発展により「ライブ」という言葉の概念が変化していることを意味しているだろう。本研究は、初音ミクのライブと映画『KING OF PRISM by PrettyRhythm』の応援上映の二つの事例から、現代のライブパフォーマンスについて考察している。

 

発表6:「音楽を存在論的に理解すること――音楽実践の分析と形而上学は(どのように)結びつくか」

田邉健太郎(立命館大学大学院生存学研究センター客員研究員)

 

本発表は、博士論文に基づき、分析美学における音楽の存在論の包括的見取り図を提示することを目的とする。第一に、「音楽作品とは何か」を論じる基礎的論争(fundamental debate)を、「音楽実践や音楽に関する信念等の分析」、「形而上学的考察」、「方法論的考察」という三つの視点から整理したのち、「そうした基礎的論争は作品概念の歴史的展開と機能に十分な注意を払っていない」とするリディア・ゲーアの批判を検討する。第二に、「録音物」をめぐる存在論的議論を取り上げ、ポピュラー音楽研究と存在論の結びつきを明確化したい。

 

 

◆第2回研究例会(特別例会)

京都精華大学ポピュラーカルチャー学部との共催

日時:10月29日(日) 開場17:30 開演18:00 無料(予約不要)

会場:京都精華大学友愛館地下1階M005教室

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「無限ノ響キヲ返照スル」(翻訳付レクチャー)

アンソニー・ムーア

 

 

◆第3回研究例会

ミニシンポジウム「アジア映画と1960年前後の音楽」

日時:2017年11月11日(土)14:00-17:00

会場:関西学院大学 大阪梅田キャンパス1401教室(大阪市北区茶屋町19-19アプローズタワー14階)

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発表1:「タレンタイム―1950年代のシンガポール・マラヤにおけるタレント発掘コンテストの社会史」

山本博之(京都大学)

 

今年日本で劇場公開されたマレーシア映画『タレンタイム』(ヤスミン・アフマド監督、2009年)は、ペラ州イポーの中学・高校生を対象とした芸能コンテスト「タレンタイム」を題材に、互いに民族や宗教が異なる生徒たちとその家族の関係を通じて、多民族・多宗教社会における共生のあり方やその世代間の違いなどを考えさせる作品として国内外から高く評価されている。この作品の題材であるタレンタイム(Talentime)とは、1940年代末にシンガポールのラジオ局が行ったタレント発掘コンテスト番組に端を発し、同番組を契機にシンガポールとマラヤ(および後にボルネオ)の各地に急速に広まっていった芸能コンテストである。教会や学校などのさまざまな団体がタレンタイムを行うようになり、さらに全シンガポール・マラヤを対象にしたタレンタイムが開催され、1950年代~60年代のシンガポール・マラヤは空前のタレンタイム・ブームを迎えた。1963年のテレビ放送の開始に伴ってタレンタイムはラジオからテレビに舞台を移し、さらに多くのミュージシャンを輩出してシンガポール・マレーシアの音楽界に大きな影響を与えた。この報告では、1940年代末~60年代のラジオの時代を中心にタレンタイムの展開を整理した上で、メディア(ラジオ)、音楽(バンド)、コンテストなどの観点から、脱植民地化・建国過程のシンガポール・マラヤにおいて人々がタレンタイムに熱狂したことの意味を考えてみたい。

 

 

発表2:「音楽のるつぼ台湾―『牯嶺街少年殺人事件』の音楽から」

西村正男(関西学院大学)

 

今年25年ぶりに日本公開された台湾映画『牯嶺街少年殺人事件』(エドワード・ヤン監督、1991年)は、1961年に台北で現実に起きた殺人事件に取材しており、当時の台湾外省人の若者たちの抱えた閉塞感を描いた監督の代表作である。この映画は当時のロックの演奏シーンが有名であるが、実際に映画を見ると、それ以外に様々なジャンルの音楽がフレーム内/フレーム外の音として存在していることに気づく。本発表では、台湾の複雑な歴史背景やエスニシティが映画の音楽にどのように反映されているかを考察する。それと同時に、台湾における初期ロック発展の様相や、近年の台湾において自らの音楽的「伝統」がどのように想像/創造されているかについても言及したい。

 

コメンテイター:輪島裕介(大阪大学)

 

 

【中部地区】

◆第1回研究例会

日時:2017年11月11日(土) 13:30〜17:00
会場:椙山女学園大学・星が丘キャンパス 国際コミュニケーション学部棟 010教室

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1. 「“ Led Zeppelin” 究極トリビュート・アーティスト:ジミー桜井&ジョンジー大塚」

宮崎尚一(愛知県立大学〔非常勤〕)

 

本発表においては、英国を代表する伝説のハード・ロックバンド、「レッド・ツェッペリン」(1968年-1980年)のリード・ギターリスト、ジミー・ペイジを完全に模倣する究極トリビュート・ギターリスト、ジミー桜井の演奏に着目する。
現在米国で活動中のジミー桜井が一時帰国したこの夏、2017年8月15日(火曜日)に、東京築地にある大人向けライブハウス「ブルー・ムード」にて、日本を代表するレッド・ツェッペリンマニアのメンバーともに、レッド・ツェッペリンの全盛期1973年の欧州ツアーを再現するスーパー・セッションが急きょ行われた。ベースとキーボードはジミー桜井と「MR.JIMMY」(現在活動休止中)で活動を共にしたジョンジー大塚が担当し、ドラムスはジョンジー大塚と共に「王様の日本語直訳ツェッペリン研究会ライブ」に参加しているセッション・ドラマー乙部ヒロが担当、そしてヴォーカルは発表者自身(元祖レッド・ツェッペリン・トリビュートバンド「CINNAMON」の初代ヴォーカリストのSHO)が担当した。突然のライブの告知にもかかわらず、「Jimmy SAKURAI & FRIENDS / スーパーZEPセッション」のチケットは即完売した。当日の演奏は,長年のレッド・ツェッペリンマニアにとっても,これまでに経験したことのない非常に斬新かつ新鮮なものとなった。
ジミー桜井とジョンジー大塚は、長年の間、ブートレッグを含む莫大な量のレッド・ツェッペリンの音源およびライブ映像を繰り返し視聴・研究してきた。本家の演奏を忠実に再現するために、楽曲を細部にいたるまで分析し、楽器・機材にもこだわり、特にジミー桜井はステージ・アクションから衣装まで、本物と寸分違わないものになるまで追及している。ジミー桜井のギター・プレイをライブで観ているオーディエンスは、自然と彼をレッド・ツェッペリンというユニットで演奏しているジミー・ペイジとまさに同一視してしまうのである。これはもはや「トリビュート」という次元を逸脱し、一つの「アート」として捉えることができると言ってよいだろう。
2012年10月15日、ジミー・ペイジがプロモーションで来日した際に、彼自身が実際にMR.JIMMYのライブを観ており、ジミー桜井のパフォーマンス、そしてジョンジー大塚氏のプレイは、ご本家であるジミー・ペイジ御大から高く評価されている。発表者自身も、ライブ本番数日前に行われた限られた時間(約2時間30分)でのリハーサル、そしてライブ本番の演奏においては、彼ら二人が生み出す「本物の蘇生」を試みるサウンドには、終始圧倒されるばかりであった。まさにレッド・ツェッペリンのライブ演奏を聴いているような錯覚に陥ったほどである。実際に発表者自身が録音した今回のライブ音源を聴いていても、本物の演奏との違和感をほとんど感じさせないほどのクオリティの高さである。
本発表では、今回の「ブルー・ムード」でのライブ音源・映像を交えながら、ジミー桜井、そして彼を陰で大きく支え続けているジョンジー大塚にも焦点をあてながら、究極トリビュート・アーティストのこだわりについて報告してみたい。

 

 

2. 「「シティ・ポップ」的なるものをめぐる地政学」

水川敬章(愛知教育大学)

 

本発表は、1970年代中頃以降に発表された日本のポピュラー音楽で、とりわけ「シティ・ポップ」というカテゴリーに関わる楽曲や現象などについて、以下に示す問題点から議論を行うものである。
たとえば、2017年8月号『ユリイカ』のcero特集に寄せられたエッセイの中には、誰もが予想するように「シティ」、「東京」というキーワードが登場していた。また、2017年7月には、音楽プロデューサー 牧村憲一を中心とした執筆陣による『渋谷音楽図鑑』(太田出版、2017)が上梓された。この書籍は、「渋谷」という地域を基点に、牧村の仕事の語り直しと具体的な作品分析を通じて、日本のポピュラー音楽の一部の歴史を再配置=再構成してみせた。これらの言論は、無論「渋谷系」という基軸から読解することもできるが、またその一方で、昨今の「シティ・ポップ」と称される音楽カテゴリーのコンテクストから読むこともできる。このような立場に依拠すれば、「シティ・ポップ」と呼ばれる音楽現象に対する言表やイメージが、東京という地域(都市)に収束する様を、あるいは東京という都市のイメージが特権化されていることを、これらの言論から看取できる。
また、この見立てに拠れば、これら言論を以下のように整理することができる。前者は、Yogee New Wavesやevening cinemaなどの謂わば「現在」の「シティ・ポップ」(的)表現との関連性と新しい音楽性をめぐる価値の拡張への理路を含み持つ言論であり、後者は、その前史たる「シティ・ポップ」の起源と確立をめぐる物語の構築によって「現在」への回路を持たせようとした言論である、と。したがって、『ユリイカ』のcero特集と『渋谷音楽図鑑』という例から垣間見られるのは、「シティ・ポップ」というカテゴリーの「シティ」の意味内容がとりわけ「東京」という固有名詞と取り結ぶ関係性、更には、それがカテゴリーに属する音楽と取り結ぶ関係性の力学である。本発表の関心は、ここにある。
本発表では、この問題点を議論するために、①シュガー・ベイブ、山下達郎、ブレッド&バター、南佳孝、センチメンタル・シティ・ロマンスなどのバンドやミュージシャンの作品や自家解説、②それらに対するメタ言説、③牧村などミュージシャン以外の当事者の発言、④「シティ・ポップ」というカテゴリーに関する言説、⑤「シティ・ポップ」に関連するキータームや事象――例えば、「Light Mellow」(金澤寿和)、「70’S VIBRATION」(2015年8月〜 同年9月)などを具体的な分析対象とする。これらを横断的に検討することで、1970年代中盤以降に展開された音楽に対する価値規範の形成に関する政治学の一側面を明らかにする。加えて、それら音楽から聴取者がイメージした「シティ」と、音楽やミュージシャンたち表現との緊張関係についても併せて議論する。
なお、本発表は、名古屋という「都市」とセンチメンタル・シティ・ロマンスの関係性について議論するための予備的な検討のひとつとなる予定である。

 

映像視聴およびクロストーク

「オーディエンス/ファンの想像力 〜村山和也監督作品『堕ちる』をめぐって〜」

登壇者:村山和也(映画監督)/広瀬正浩(椙山女学園大学)

 

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