Japanese Association for Studying Popular Music

2015年の研究活動記録

1989 | 1990

1991 | 1992 | 1993 | 1994 | 1995 | 1996 | 1997 | 1998 | 1999 | 2000

2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 | 2006 | 2007 | 2008 | 2009 | 2010

2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018

 

【大会等】

日本ポピュラー音楽学会第27回大会

2015年12月5日~6日 京都精華大学

NEWSLETTER105107号に報告を掲載

 

【関東地区】

◆第1回研究例会

日時:3月22日(日)14:00-17:30

会場:立教大学 池袋キャンパス 本館(1号館)1203教室

NEWSLETTER104号に報告を掲載

修士論文・卒業論文報告会

 

「雑音の系譜とエレクトリック・ギター

―『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコ』を中心に―」

大森善之(東京大学教養学部教養学科超域文化科学科表象文化論コース4年)

 

本研究は「かつて雑音とされた音が楽音の領域に取り込まれていく歴史」としての音楽史の中で、エレクトリック・ギターの演奏が持つ性質を検討する。その際、「歪み」と「フィードバック」という、雑音とも見なされうる2つの音色・奏法に着目する。そして、こうした演奏を効果的に用い、雑音を積極的に導入した作品として『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコ』を取り上げ、同時代の雑音を用いた音楽と比較する。

 

 

「インディー・ミュージックのエスノグラフィ

―グローバル化するアンダーグラウンド音楽文化とアーティスト活動の実態―」

平松絹子(東京芸術大学大学院音楽研究科音楽文化学専攻芸術環境創造領域修士課程2年)

 

本研究で筆者は「インディー」と呼ばれる独立性の高いポピュラー音楽について、北アメリカ、ヨーロッパ、アジアなどの複数都市で参与観察を行い、エスノグラフィを記述した。本学会ではフィールドワークの報告と、その中で観察できた4名のアーティストの活動実態、インディー文化におけるグローバル化の影響などを発表する。

 

 

◆第2回研究例会

日時:10月18日(日)14:00-17:00

会場:立教大学池袋キャンパス 11号館A303号室

 

柴那典『初音ミクはなぜ世界を変えたのか?』書評セッション

著者・柴那典(ライター、音楽ジャーナリスト)

評者・井手口彰典(立教大学社会学部准教授)、原島大輔(東京大学大学院総合文化研究科博士課程)

司会・瀧戸彩花(立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科博士課程)

 

――新しい文化が生まれる場所の真ん中には、インターネットと音楽があった。2007年、初音ミクの誕生と共に始まった三度目の「サマー・オブ・ラブ」とは ――(「BOOK」データベースより)。

「初音ミク」を巡る大きな潮流を見つめ続け、その歩みを生みの親や周辺関係者、ボカロPへのインタビューを基に検証し、ゼロ年代の日本の音楽シーンと社会背景を語った著書『初音ミクはなぜ世界を変えたのか?』(太田出版,2014)の書評セッションを開催いたします。
ネットにおける音楽シーンを語る上で、今や切っても切れない存在となった「初音ミク」。2007年に誕生してから今日に至るまでに、単なるツールやソフトウェアといった枠組みを超え、様々なコンテンツとのコラボレーションにより「音楽の新しいあり方」を提示し続けてきました。人々の生活や価値観にまで影響を与えるボーカロイドについて今一度議論することは、過ぎ去ったゼロ年代を振り返り、新たな音楽の可能性を作り出すことにも繋がるのではないでしょうか。本例会の議論が、21世紀の音楽の指針を更に深めるものとなれば幸いに存じます。
著者の柴那典氏に加え、評者として同人音楽の研究で知られる音楽社会学者の井手口彰典氏と、ネットワーク音楽に詳しい情報メディア研究者の原島大輔氏が登壇します。

 

 

【関西地区】

◆第1回研究例会

日時:3月28日(土)15:00−18:00

会場:京都精華大学 友愛館 Y-103教室

NEWSLETTER104号に報告を掲載

博士論文・修士論文報告会

 

「誰が声優を歌い手に変えたのか—アニメ産業と音楽産業の提携の変化を中心に—」

高 文(関西大学大学院社会学研究科マス・コミュニケーション学専攻博士前期課程)

 

近年、「新世紀エヴァンゲリオン」「妖怪ウォッチ」などテレビアニメの主題歌がヒットし、注目されている。テレビアニメの主題歌を歌うアーティストは、専門のアニソン歌手から一般のロック歌手まで多岐にわたっている。その中でもっとも顕著な増加を示しているは声優である。本研究では、声優がテレビアニメ主題歌を歌うようになった経緯を、アニメ産業と音楽産業の間のせめぎ合いという視点から、「ゲートキーパー」と「仲介者」の理論を用いて分析する。

 

 

「現代日本における音楽のアマチュアリズム

—niconico動画の「歌い手」に対するイメージをめぐって—」

陳 晨(関西大学大学院社会学研究科マス・コミュニケーション学専攻博士前期課程)

 

現代日本の音楽においては、プロとアマの境界があいまいな領域が生まれている。例えば、niconico動画に自らの歌唱を投稿する「歌い手」が若者の間に人気が集まり、その中からメジャーデビューする者も出てきている。こうした現象に対して「歌い手」のファンの間では賛否両論の議論が起こっている。本研究では、スポーツにおけるアマチュアリズム、音楽におけるアマチュアリズムの歴史を踏まえた上で、niconico動画ユーザーへのインタビューにより、現代日本の音楽におけるアマチュアリズムという意識のあり方を明らかにする。

 

 

「芸能実践の豊かさを生きる—沖縄移民の芸能から広がる人やモノのつながりの研究—」

栗山新也(国際日本文化研究センター共同研究員、沖縄県立芸術大学付属研究所共同研究員)

 

本研究は、近代の沖縄の移民や出稼ぎが成し遂げてきた芸能実践の豊かさを、沖縄から多くの人びとが移動した大阪・南洋群島・ハワイまでを含む広大な地理的空間において描きだすものである。報告では、芸能実践の豊かさの定義と、それを記述するための方法論を説明した上で、おもに沖縄とハワイとの間を行き交う三線とレコードにみられる人・モノの諸関係について述べたい。

 

 

◆第2回研究例会

日時:2015年9月4日(金)18:00-20:00

会場:関西大学 千里山キャンパス 第3学舎 C404教室

NEWSLETTER106号に報告を掲載

 

「日本のポピュラー音楽のアーカイブ、展示の現状および研究への活用について」

司会:太田健二(研究活動委員)粟谷佳司(研究活動理事)

報告:柴台弘毅(関西大学)、三浦文夫(関西大学)

ゲスト:山中聡(元音制連副理事長)

 

本研究会では、関西大学日本ポピュラー音楽アーカイブ・ミュージアムプロジェクト(以下、PMAM)および、一般社団法人音楽制作者連盟のMOMM(Museum Of Modern Music)の取り組みを報告する。PMAMとMOMMは、日本のポピュラー音楽を体系的に整理、散逸しつつある映像、音源、ドキュメントのアーカイブ構築のための活動を続けている。研究会ではますPMAMの現状を報告する、次に音制連副理事長の山中聡氏をゲストにお迎えし、MOMMの現状およびアーカイブされた資料の活用事例として、氏が総合プロデユーサーを務め現在横浜赤煉瓦倉庫にて開催されている「’70sバイブレーション!」の企画意図、展示内容などの詳細をお話いただく。最後に、フロアを交え、ポピュラー音楽研究におけるアーカイブ資料活用についての、議論の場を設ける。

 

 

◆第3回研究例会

日時:10月3日(土)15:00〜17:30

場所:京都精華大学ポピュラーカルチャー学部 友愛館Y-005

(日本音楽学会西日本支部第28回(通算379回)例会と合同例会)

NEWSLETTER106号に報告を掲載

 

研究発表:「大栗裕の採譜の実際 – 「大栗文庫」所蔵資料の2015年度再調査報告を中心に」

白石知雄

 

発表者は、船場島之内出身の作曲家、大栗裕(1918-1982)の自筆譜等を集約した大阪音楽大学付属図書館大栗文庫の移転(移転先は近日発表予定)に先立ち、準備作業として本年4月から所蔵資料を再調査する機会を得た。この発表では、新たに発見された管弦楽のための組曲「雲水讃」(昭和36(1961)年文部省芸術祭参加作品)の草稿(京都吉祥院六斎念仏の録音を採譜した楽譜帳)の概要を紹介し、没後「大阪のバルトーク」と喧伝されることすらあったこの作曲家の民俗的な素材の取り扱いの実態と、その意義を批判的に考察する。
「雲水讃」(初演稿全3楽章の第1、3楽章、改訂稿全2楽章の第2楽章)は、吉祥院天満宮大祭(毎年8月25日)の芸能を、おそらく委嘱元である朝日放送の協力を得てオープンリールテープに収録して、その音源を採譜した素材にもとづいて作曲されている。発表者の調査では、大栗裕がバルトークに擬せられる発端、遠因はこの作品であった可能性が高い。
しかし各種資料を照合すると、録音の取り扱いにはいくつかの不備が認められる。
日本の伝統芸能に立脚した創作を主張する武智鉄二(1955年の歌劇「赤い陣羽織」の演出家)の感化、1956年の「大阪俗謡による幻想曲」の成功を受けた続編的な新作への期待、ラテン音楽(ニューリズム)の流行に煽られて「和製サンバ」と評された京都の六斎念仏への注目度など、このような作品が書かれねばならない外的条件が整い、いわば外堀が埋められた状況で、作曲者は半ば意識的、半ば無意識的に課題をやり過ごし、身を翻したように見える。
新技術(テープ録音)が投入された晴れがましい企画を曖昧に切り抜ける態度は、作品の欠陥、当事者の能力不足を疑わざるを得ないが、難局に直面した売れっ子ならでは図太さ、しぶとさが、創作を次の段階へ推し進める。本作以後、大栗裕に自ら取材・録音した音源を用いた作例はない。発表者はこの作品を、失敗することに成功した作曲者の転回点と位置づける。

 

 

話題提供:「音楽と場所」

安田昌弘

 

特定の場所と結びつけて語られる音楽は多いが、その結びつき方は一様ではない。ある場合にはそれは、音楽的要素によって説明されるが(例えば特定の音色や音階、韻律が特定の場所と結び付けられる)、他の場合では社会的/文化的背景によって説明される(そこでは音楽は、特定の時代・場所における政治的・経済的・文化的状況の表現とされる)。このようにして考えると、音楽と場所を結びつける根拠は一貫性を欠き、場合によっては恣意的にさえみえる。それにもかかわらず、我々は音楽と場所を結びつけることをやめようとしない。それはなぜか? 本発表では、主にデヴィッド・ハーヴェイの空間分類とその間の相互介入という議論を参照し、音楽と場所の結びつきについて改めて検討する。

なお、12月に京都精華大で開催される日本ポピュラー音楽学会全国大会では、京都という具体的な場所を対象とし、「音楽と場所」について多面的に検討するシンポジウムを開催する。本報告はその予告として位置付けられる。

 

 

【中部地区】

◆第1回研究例会

日時: 2015年11月14日(土)13:30~17:30

会場: 愛知県立大学・県立芸術大学サテライトキャンパス

愛知県産業労働センター 15階

NEWSLETTER107号に報告を掲載

 

「「タンゴ」をめぐる言説の史的考察―カルロス・ベガのタンゴ論に焦点を当てて―」

遠藤健太(名古屋大学大学院国際開発研究科博士後期課程)

 

19世紀末葉にブエノスアイレスの場末で生まれたとされる「タンゴ」は、いまではアルゼンチン文化の象徴のようなものとして広く認知されている。 しかし、同国のナショナリズム的な言説のなかで、タンゴが常にこうした認知を得てきたわけではない。近代化の過程で流入した移民・外来文化の混淆という過 程のなかで育まれたコスモポリタンな文化であったタンゴは、むしろ、アルゼンチンの土着性とは対極に位置するものとさえみられ、大部分のナショナリスト知 識人の間では嫌忌すらされてきたのだった。それでは、タンゴ(に代表されるような「場末」の文化)をアルゼンチン文化の重要な一要素として認知し、それを 称揚さえする、今日に通ずるような言説というのは、いつどのようにして生じてきたのか。本発表では、まず、アルゼンチンにおけるこの種の「親タンゴ」的な 言説の生成・変遷の過程を概観する。そのうえで、「研究者」という立場からタンゴの社会的認知に貢献した音楽学者カルロス・ベガ(1898-1966)の 活動に焦点を当てて、彼のタンゴ論の内容とその歴史的意義を考察したい。

 

 

「大正期にみる子どもの音楽会について」

葉口英子(静岡産業大学経営学部・准教授)

 

日本では、明治末期以降、劇場主催の歌劇・音楽・唱歌を含む子ども向けの音楽会や演奏会(聴取者、演奏者が子どもである音楽に関連した集会)がおこなわれるようになる。こうした‘子どもの音楽会’は、大正期には、童謡運動の高まりもあり、劇場をはじめ、児童雑誌の出版社、全国各地の童謡・童話研究会、新聞社、学校、地方自治体といった多くの組織や団体が開催する現象となった。本報告では、大正期にみる子どもの音楽会に着目し、その内容を調べ、概要を明らかにすることを目的とする。とりわけ、児童雑誌や少女雑誌が主催した音楽会に焦点をあて、演目にみられる特徴、少女と音楽の結びつき、家庭音楽という新しい価値観、新中間層の出現と家族の娯楽といった問題に触れながら、考察をすすめる。

 

 

△Back to top