Japanese Association for Studying Popular Music

2013年の研究活動記録

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【大会等】

日本ポピュラー音楽学会第25回大会

2013年12月7日~8日 関西学院大学(西宮上ケ原キャンパス)

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【関東地区】

◆第1回研究例会

日時:3月23日(土)14:00~17:00

会場:武蔵大学 江古田キャンパス教授研究棟01-B室

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卒業論文・修士論文発表会

 

「イングランドの第二次フォークリバイバルにおけるロイドの貢献」

廣瀬 絵美(日本女子大学大学院文学部英文学専攻 博士課程前期2年)

 

アルバート・ランカスター・ロイド(1908-1982)は、民俗学者、ライター、音楽プロデューサー、フォークソングのパフォーマーであり、1950年代から1960年代のイングランドで起こったフォークリバイバル運動の主導者である。本報告会では、ロイドが改作したバラッドやフォークソングに関する研究書、ライナーノーツをもとに、ロイドの業績を見直していく。そして、ロイドがフォークソングを通して見出そうとしたオルタティブな世界観やコミュニティといったものを明らかにしていく。

 

 

「フリーミュージック/フリーコンテンツ

―インターネットレーベルと初音ミク現象に見るコンテンツ制作者の未来」

永野ひかり(武蔵野美術大学造形学部)

 

「フリーミュージック/フリーコンテンツ」とは、インターネットに溢れる音楽を中心としたコンテンツと、それに関わるコンテンツ制作者、そして彼らが形成するコミュニティを表す言葉です。パーソナル・コンピューターの低価格化やインターネットの普及は、個人によるコンテンツの制作と発表の敷居を下げました。そのことがもたらしたのは「コンテンツがインターネットで発表され、そのコンテンツを介してコミュニケーションが行われ、コミュニケーションによって新たなコンテンツが生まれる」という基盤を形成したことです。
本論では、「フリーミュージック/フリーコンテンツ」の流れの中でも、特にインターネットレーベルと、初音ミク現象を扱い、「フリーミュージック/フリーコンテンツ」をいかにして存続させていくか、ということを考察します。そして、近しい文脈の文化を繋げて巨大な内輪を形成することと、ふたつの事象を同時に俯瞰することで浮かび上がる固有の価値を提示することを、問題解決のための打開策として提案しています。

みなさまのご参加をお待ちしております。

 

 

◆第2回研究例会

日時:7月13日(土)14:00~18:00

会場:武蔵大学 教授研究棟1階 01-B会議室

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第1部 修士論文構想発表/報告会

 

修士論文構想発表

「「演歌」および「懐メロ」は如何に聴取されているか?―音楽聴取経験におけるノスタルジーについての考案」

ベニー・トン (シンガポール国立大学大学院 人文社会科学部 日本研究学科修士課程)

 

演歌はしばしば、「古き良き日本」の象徴とされる。しかし、一種の大衆音楽でもありながら、聴衆がいかにしてそうしたイメージを受容し、或いは意味づけるかということについての研究は乏しい。演歌の聴取により生ずる郷愁は如何なるものか。如何に生み出されるか。本論では、演歌を含む多様なジャンルの愛好家への聞き取り調査を素材に、ノスタルジーに関する先行研究を踏まえ、音楽聴衆経験によって生じるノスタルジーの特質とその作用の解明をめざす。

 

 

修士論文報告

「ポピュラー音楽の歌詞における日英言語の考察」

赤木大介 (大東文化大学大学院 博士後期課程)

 

日本においてポピュラー音楽と呼ばれる大衆音楽が広まっていった1920年代頃の作品や訳詞家の漣健児による作品をはじめ、その後も数多く生み出されてきた日本語訳詞の洋楽カバー楽曲や、J-pop作品が英語歌詞でカバーされる近年の流行を通して、その歴史的流れや文化的背景を例証する。また日英間の歌詞翻訳に関してPeter Low(2005)は、重要となる項目をSingability, Sense, Naturalness, Rhythm, Rhymeの五つにまとめており、これらの基準を用いて同作品の歌詞を比較し、旋律上で言語を扱う際の特徴についても考察する。

 

 

第2部 個人報告

「ユー・ガッタ・ムーヴ」─フォークがロックへ踏み出したとき

佐藤良明

 

Rolling Stones の “You Gotta Move” (71) は、デルタより「素朴」とされたミシシッピー丘陵地の Fred McDowell のカバーである。Alan Lomax が1959年に「発見」した McDowell は、「フォークの浪漫主義」と「ロックの快楽主義」が交叉する興味深い存在。この発表では、一曲のゴスペル曲のルーツを商業音楽の流れの中に探りつつ、60年代初頭の Dylan や Jagger の動きを追って、ロック革命とは何だったのか、その輪郭を描くことを試みる。

 

 

◆第3回研究例会

日時:2013年11月10日(日) 15:00~17:00

場所:武蔵大学 教授研究棟2階 02-E会議室

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研究会

「音楽メディアとしてのニコニコ動画」

報告者:井手口彰典(立教大学)、ルジラット・ヴィニットポン(東京大学大学院)
問題提起者:溝尻真也(目白大学)
司会:南田勝也(武蔵大学)

 

日本のポピュラー音楽の現状を考える上で、初音ミクが歌ってみた楽曲や、そこから派生するさまざまなn次創作の文化は、もはや無視できないものになっている。一方で、こうしたコンテンツのプラットフォームになっているニコニコ動画についての学術的な研究は、まだ非常に限定されているといえるだろう。今回のテーマ例会は「音楽メディアとしてのニコニコ動画」と題し、ニコニコ動画が何をどのようにメディエートしてきたのかについて、事例報告ならびに討論を行いたいと考えている。
井手口彰典氏(立教大学)からは、著書『同人音楽とその周辺』で論じた「組曲『ニコニコ動画』台湾返礼」の事例を中心に、またルジラット・ヴィニットポン氏(東京大学大学院)からは、歌い手文化の事例を中心にそれぞれご報告いただく。その上で、音楽を介したコミュニケーションがさらなるコンテンツを生み出していく過程と、その背景にある社会の有様について、フロア全体で議論を行う予定である。

 

 

【関西地区】

◆第1回研究例会

日時:2月11日(祝)13時30分~17時30分

会場:関西学院大学 大阪梅田キャンパス 10階1002号室

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修士論文・博士論文発表会

 

「クラシック音楽のコンサートにおけるマナーの意義―聴衆(オーディエンス)の姿勢から探る」

堤万里子(京都精華大学大学院人文学研究科修士課程)

 

近年、コンサート需要は増加傾向にある。その中、クラシックコンサートは一定の来場者を確保し続けてはいるが、公演数の増加や動員数の増加に繋がっていない。むしろ、一般的には敬遠されている印象をうける。その一つの理由として、コンサートにおける抑制的なマナーが関係しているのではないかと考えられる。オーディエンスの姿勢を基にクラシックコンサートのマナーの意義を明らかにする。

 

 

「私事化するロック―現代日本における若者の音楽受容」

島村譲(関西大学大学院社会学研究科マス・コミュニケーション学専攻修士課程)

 

「ロックは死んだ」とされて久しい現代の日本においても、〈ロック=反抗の音楽〉というイメージは人々の間に残存している。では現代の日本の若者、とりわけロックファンはロックをどのように受容しているのだろうか。そこに〈反抗〉などの精神性やイデオロギーは存在するのだろうか。ロックの〈反抗〉や日本の若者の音楽受容についての先行研究を踏まえ、ロックファンへのインタビューを通じて、彼らが音楽受容に何を求めているのかを探っていく。

 

 

「社会的行為としての指揮―音楽演奏における時空間の編成から」

平田誠一郎(関西学院大学大学院社会学研究科研究員)

 

クラシック音楽の演奏において、指揮者は何をしているのか。本発表ではこの問いに対して、アルフレッド・シュッツの「音楽の共同性」論文に基づき、それがたんなる音楽的・技術的な指導を超えた、奏者・聴衆も含めた演奏空間にいる人びとの「内的時間のコーディネート」であると答えたい。また指揮者は、そのような人びとが共有する内的時間を可視化・具現化することによってクラシック音楽の演奏空間の形成に重要な役割を果たしている。このような指揮者のあり方について、現代文化におけるクラシック音楽の受け止められ方の変容も踏まえつつ議論を行う。

 

 

◆第2回研究例会

日時:2013年9月28日(土)15:00~18:00

会場:関西学院大学 西宮上ケ原キャンパス 第一教授研究館本館1階 会議室1

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研究会

「音楽フェスのジレンマ―慈善事業かビジネスか? ローカルかグローバルか?」

登壇:沖島了太氏(舞音楽祭主催者・財団法人O-Plus代表理事)、永井純一(神戸山手大学講師)、

山本佳奈子氏(アジアのインディーカルチャーサイトOffshore主宰)

司会:長﨑励朗(京都文教大学講師)

 

音楽フェスには様々な評価軸が存在する。それはエコ、国際交流といった理念の問題から単純な規模やアーティストの選定基準にいたるまで多岐にわたる。だからこそ、研究対象として豊かな土壌を提供してくれるが、その反面、全体像を捉えた研究が難しいのも事実である。

そこで、本研究会ではフェスが抱える2つのジレンマに焦点をあてた議論をおこなうことによって、フェスを考えるためのある程度定まった観点を見いだしたい。ここで扱うジレンマとは、「慈善事業かビジネスか?」「ローカルかグローバルか?」の2点である。これらは先に述べた様々な評価軸と密接に関連しており、フェスに関する問題系の中心に位置していると考えられるからだ。

これらについて本研究会では、大阪における舞音楽祭(旧渚音楽祭)の主催者である沖島了太氏と、アジアのインディーカルチャー紹介サイトoffshoreの管理人である山本佳奈子氏を招き、フロアも交えた討議をおこなう。

舞音楽祭はレイブフェスとしては中規模のもの(6000~9000人規模)ではあるが、「ローカル・アーティストのショーケース」という形式を守り続けており、先に挙げた2つのジレンマを考えるにあたっては格好の素材である。沖島氏から舞音楽祭(大阪)の主催者になるまでの道のり、およびフェス企画のプロセスなどについて語っていただくことで、主催者側の視点を提供していただく。

一方、山本佳奈子氏はアジアのアンダーグランドな音楽やアート事情に精通しており、サイト運営だけでなく、それらの情報を発信するイベントも手がけている。国外のシーンにも目を向けることで多角的かつ深みのある議論に発展することが予想される。

最後に永井純一氏は主にフェスのオーディエンスに焦点をあてた研究を続けている。以上のようにさまざまな視点からフェスが抱えるジレンマについて議論することで、フェス研究に新たな地平を見いだすことを目的とする。

 

 

【中部地区】

◆第1回中部地区研究例会

日程:2013年11月3日(日)13:30~18:00

会場:愛知県立大学・県立芸術大学サテライトキャンパス 愛知県産業労働センター15階

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「日本レコード界黎明期の唱歌レコード歌手納所文子とそのレコード」

近藤博之

 

納所弁次郎の娘である納所文子は、アメリカ・コロムビアの出張録音を皮切りに、日本レコード界黎明期の明治末期から主に大正初期にかけて数々の唱歌を父親の伴奏で歌い、レコードに残してきた。同時代に彼女以外の唱歌レコードは他にもあったが、初の国産レコード会社である日米蓄音器(後の日本蓄音器商会)の中心戦力になったことなどにより、彼女は唱歌レコード吹込の第一人者として扱われるようになった。
しかしながら、レコード史及び音楽史などの先行研究において納所文子の足跡が十分に辿られてきたとは言えず、現在では本居三姉妹の二番煎じのように理解されている向きもある。
本発表は、納所文子及び彼女のレコードの足跡を辿り、日本レコード史の中での位置づけを模索するものである。彼女のレコードが大正時代の日本でどのように位置づけられていたか、また、本居三姉妹、他の童謡歌手との比較も行いたい。

 

 

「AKB48の歌詞論に関する考察」

玉木博章(高等学校非常勤講師(兼任))

 

本研究発表では、ポピュラーソングの歌詞は意味のあるテキストであるという見解に立ち、国民的アイドルグループとして謳われているAKB48の歌詞世界を読み解くことを目的とする。AKB48の歌詞論に関しては、最もポピュラーな先行研究として『AKB48白熱論争』で知られる批評家の宇野常寛によるものが挙げられる。本発表ではそれを対抗軸として、宇野の立場や語り口さらにはその根拠等を逐一確認しつつ、歌詞の精読や整理そして拙者による量的な調査や質的な調査の結果を基に、オルタナティヴの見解を示していく。そしてその結果、AKB48の歌詞世界が意味する新地平を提示し、その独自性やそこから生じる問題点、また他のアーティストの歌詞との共通点についても言及していきたい。

 

 

「国際コロキアム「昨日と今日のタンゴ」に参加して」

西村秀人(名古屋大学大学院国際開発研究科准教授)

 

本発表は2013年9月27日から30日までウルグアイの首都モンテビデオで開催される、国立ラウル・アジェスタラン音楽資料センター(Centro Nacional de Documentacion Musical Lauro Ayestaran)主催の国際コロキアム「昨日と今日のタンゴ」に関する報告である。このセンターは教育文科省に属する公的な組織でこのような国際コロキアムを2年に一度開催しているおり、第1回は「音楽/音楽学と植民地主義」、第2回は「アフリカとアメリカの間の音楽」で、第3回の今回はタンゴがテーマとなった。ウルグアイ、アルゼンチン、チリ、ブラジル、コロンビア、フィンランド、日本から計15名の識者が集い発表を行う。私は「日本におけるタンゴ:ジャパナイズと正統性の間で」と題し、来年で100周年を迎える日本のタンゴ史をダンス・歌・演奏の3つの面から、正統性(アルゼンチン・スタイル)への希求を軸として読み解く試みを行う。例会ではコロキアム全体の内容と、私個人の発表内容の両方に言及する予定である。

 

 

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